小説用倉庫。
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「自分で行けば早いんじゃないの?」
オルカーンが食い下がる。
其処ではじめて、ディリクが僅かに表情を変えた。
呆れたような表情だったが。
「毒の進行が食い止められるのか? シェンディルの魔法は進行を遅くするだけだ。私が薬草を取りに行っていたのでは間に合わない」
部屋に僅かに沈黙が落ちた。
誰も動かない。
ルベアは、ひたとディリクを見た。
その色違いの目を。
「これがあれば、治せるのか」
「あぁ」
答えは簡潔だった。
迷いや不安は微塵も感じない。
「分かった。行ってこよう」
ディリクはルベアに一つ頷いてみせると、オルカーンに視線を移した。
「お前も行ってくると良い。此処にいてもやることは無いぞ」
突然振られ、オルカーンが躊躇いがちに声を出した。
「でも、俺……」
「何か問題があるのか?」
そういえば驚かないな、と思いつつ、理由を察したルベアがオルカーンの額の布を取り去った。
現れた三つ目の目を見ても、ディリクは何の反応もしなかった。
「何か問題があるのか?」
ディリクはルベアとオルカーンに視線を向け、繰り返した。
「え……と」
見慣れない反応に、オルカーンの方が戸惑ってしまう。
「……俺はこんな姿だから、人目につくと騒ぎになるんだ」
「魔獣であることを気にしているのならば問題は無い。あの村の連中はそんなことでいちいち騒がない」
きっぱりと断言された。
騒がないとはどんな村なんだろうとルベアは少し興味を持った。
「……あんたも驚かないな」
「知り合いに同じ種類の魔獣がいる。状況もわかっている。驚くには値しない」
抑揚のあまり少ない口調で答えたディリクに、オルカーンが身を強張らせる。
「知り合い……がいるの、か? 同じ種類の魔獣と!?」
「そうだ」
「そいつの色は!」
「毛並みが黒、目が緑だ」
勢い込んで尋ねるオルカーンにほんの少し目を細めながら、それでも律儀に答えていく。
「そいつの、名前とかは?」
「アレンだ」
名を答えた途端、オルカーンがその場に伏せた。
長いため息が漏れる。
「そっか……」
「……もう良いか? ならば早く行ってきてくれ」
そう言って、ディリクは部屋の隅に置いてある幾つかの箱を取り、レインの傍らに膝をついた。
「アレンのことを教えてくれないか?」
ディリクは作業の手を止めて顔を上げると、オルカーンを見て言った。
「戻ったらな」
「……分かった」
渋々、といったふうにオルカーンが頷く。
傍らに置いた箱から砂のようなものを取り出し、不規則な模様を描いていく。
それを見ていると、不意にディリクが見ているのに気づいた。
「アィルという人物に会え。それを渡せば用意してくれるだろう」
ディリクの言葉に頷き、ルベアはオルカーンとともに部屋を後にした。
オルカーンが食い下がる。
其処ではじめて、ディリクが僅かに表情を変えた。
呆れたような表情だったが。
「毒の進行が食い止められるのか? シェンディルの魔法は進行を遅くするだけだ。私が薬草を取りに行っていたのでは間に合わない」
部屋に僅かに沈黙が落ちた。
誰も動かない。
ルベアは、ひたとディリクを見た。
その色違いの目を。
「これがあれば、治せるのか」
「あぁ」
答えは簡潔だった。
迷いや不安は微塵も感じない。
「分かった。行ってこよう」
ディリクはルベアに一つ頷いてみせると、オルカーンに視線を移した。
「お前も行ってくると良い。此処にいてもやることは無いぞ」
突然振られ、オルカーンが躊躇いがちに声を出した。
「でも、俺……」
「何か問題があるのか?」
そういえば驚かないな、と思いつつ、理由を察したルベアがオルカーンの額の布を取り去った。
現れた三つ目の目を見ても、ディリクは何の反応もしなかった。
「何か問題があるのか?」
ディリクはルベアとオルカーンに視線を向け、繰り返した。
「え……と」
見慣れない反応に、オルカーンの方が戸惑ってしまう。
「……俺はこんな姿だから、人目につくと騒ぎになるんだ」
「魔獣であることを気にしているのならば問題は無い。あの村の連中はそんなことでいちいち騒がない」
きっぱりと断言された。
騒がないとはどんな村なんだろうとルベアは少し興味を持った。
「……あんたも驚かないな」
「知り合いに同じ種類の魔獣がいる。状況もわかっている。驚くには値しない」
抑揚のあまり少ない口調で答えたディリクに、オルカーンが身を強張らせる。
「知り合い……がいるの、か? 同じ種類の魔獣と!?」
「そうだ」
「そいつの色は!」
「毛並みが黒、目が緑だ」
勢い込んで尋ねるオルカーンにほんの少し目を細めながら、それでも律儀に答えていく。
「そいつの、名前とかは?」
「アレンだ」
名を答えた途端、オルカーンがその場に伏せた。
長いため息が漏れる。
「そっか……」
「……もう良いか? ならば早く行ってきてくれ」
そう言って、ディリクは部屋の隅に置いてある幾つかの箱を取り、レインの傍らに膝をついた。
「アレンのことを教えてくれないか?」
ディリクは作業の手を止めて顔を上げると、オルカーンを見て言った。
「戻ったらな」
「……分かった」
渋々、といったふうにオルカーンが頷く。
傍らに置いた箱から砂のようなものを取り出し、不規則な模様を描いていく。
それを見ていると、不意にディリクが見ているのに気づいた。
「アィルという人物に会え。それを渡せば用意してくれるだろう」
ディリクの言葉に頷き、ルベアはオルカーンとともに部屋を後にした。
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