小説用倉庫。
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「起きてくださいまし。朝ですわよ」
何処か呆れを含んだ声に、ルベアは重い瞼をこじ開けた。
手を伸ばすと、柔らかい毛に触れる。
薄い茶色。
オルカーンか、と思い身を起こそうとすると、もう片方の腕が動かなかった。
何かと思って視線を向けると、レインがくっついている。
「貴方たち、仲良いですわね」
「……レインの寝相が悪いだけだ」
寝起きの不機嫌な声でルベアが答え、レインを引き剥がす。
「お昼までに魔獣の所に着きたいので、……起こせますの?」
呆れた声音。
二人はまだ夢の中だ。
「起きろ」
「うーん……あと……」
あと少し、とでも言うつもりか。
揺り起こそうと手を伸ばす。
「……あと1日……」
一瞬手が止まった。
シェンディルも同じように止まっているのが気配でわかった。
「……そんなに寝かせられるか! 起きろ!」
声を大きくしながら揺り動かすと、何とも言えない声を出しながらレインが目を開けた。
「お前も笑ってないで起きろよ」
横目でオルカーンを睨む。
丸めた毛皮が小刻みに震えている。
漸く皆が起き、支度が出来ると、シェンディルの指示でテントの外に出された。
小さな荷物だけになった彼女はテントから出ると入り口に置いてあった石を二つ、取り去った。
小さく、何かを唱える。
途端、テントは消えうせた。
「さぁ、行きますわよ」
振り返った彼女の手には、小さな木と布の欠片。
「それは?」
レインが指差すと、シェンディルはそれを仕舞いながら答えた。
「これは先程のテントですわ。これを媒体にしてあの大きさにしてたんですの」
にこりと何でもないことのように笑って歩き出したシェンディルに従って、ルベア達もその場を後にした。
歩き出して暫くしてから、シェンディルが不意に聞いた。
「そういえば、貴葉石樹を探してどうするんですの?」
「頼まれたんだよ」
レインが何の衒いも無く答えた。
「頼まれた? 誰にですの?」
「何故そんなことを聞く?」
答えようとするレインを遮って、ルベアが問う。
「あぁ、いえ、詮索するつもりではないのですけれども、使用方法が封魔具の媒体しか思い当たらないものですから、何に使うのかと思いましたのよ」
お二人は魔法を使ってられないでしょう? とシェンディルがレインとオルカーンを指して言った。
「……苦手なんだ」
ぽつりとオルカーンが呟く。
「オレは使い方知らないもん。あ、頼んだのはディリクだよ」
「まぁ、そうでしたの。それなら、納得ですわ」
合点がいった、というふうに頷くシェンディルに、レインが首を傾げる。
「何で、納得なの?」
「彼はルシェイドに最も近い者ですもの。それに道具屋さんですし」
「知り合い?」
「蛇の道は蛇ですわ」
軽く笑って、シェンディルは足を止めた。
何処か呆れを含んだ声に、ルベアは重い瞼をこじ開けた。
手を伸ばすと、柔らかい毛に触れる。
薄い茶色。
オルカーンか、と思い身を起こそうとすると、もう片方の腕が動かなかった。
何かと思って視線を向けると、レインがくっついている。
「貴方たち、仲良いですわね」
「……レインの寝相が悪いだけだ」
寝起きの不機嫌な声でルベアが答え、レインを引き剥がす。
「お昼までに魔獣の所に着きたいので、……起こせますの?」
呆れた声音。
二人はまだ夢の中だ。
「起きろ」
「うーん……あと……」
あと少し、とでも言うつもりか。
揺り起こそうと手を伸ばす。
「……あと1日……」
一瞬手が止まった。
シェンディルも同じように止まっているのが気配でわかった。
「……そんなに寝かせられるか! 起きろ!」
声を大きくしながら揺り動かすと、何とも言えない声を出しながらレインが目を開けた。
「お前も笑ってないで起きろよ」
横目でオルカーンを睨む。
丸めた毛皮が小刻みに震えている。
漸く皆が起き、支度が出来ると、シェンディルの指示でテントの外に出された。
小さな荷物だけになった彼女はテントから出ると入り口に置いてあった石を二つ、取り去った。
小さく、何かを唱える。
途端、テントは消えうせた。
「さぁ、行きますわよ」
振り返った彼女の手には、小さな木と布の欠片。
「それは?」
レインが指差すと、シェンディルはそれを仕舞いながら答えた。
「これは先程のテントですわ。これを媒体にしてあの大きさにしてたんですの」
にこりと何でもないことのように笑って歩き出したシェンディルに従って、ルベア達もその場を後にした。
歩き出して暫くしてから、シェンディルが不意に聞いた。
「そういえば、貴葉石樹を探してどうするんですの?」
「頼まれたんだよ」
レインが何の衒いも無く答えた。
「頼まれた? 誰にですの?」
「何故そんなことを聞く?」
答えようとするレインを遮って、ルベアが問う。
「あぁ、いえ、詮索するつもりではないのですけれども、使用方法が封魔具の媒体しか思い当たらないものですから、何に使うのかと思いましたのよ」
お二人は魔法を使ってられないでしょう? とシェンディルがレインとオルカーンを指して言った。
「……苦手なんだ」
ぽつりとオルカーンが呟く。
「オレは使い方知らないもん。あ、頼んだのはディリクだよ」
「まぁ、そうでしたの。それなら、納得ですわ」
合点がいった、というふうに頷くシェンディルに、レインが首を傾げる。
「何で、納得なの?」
「彼はルシェイドに最も近い者ですもの。それに道具屋さんですし」
「知り合い?」
「蛇の道は蛇ですわ」
軽く笑って、シェンディルは足を止めた。
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