小説用倉庫。
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男はこちらの姿を認めると驚いた顔になる。
「侵入者だそうじゃ。城の外まで送ってやれ」
「侵入者なら捕まえるとかしないのか?」
呆れたようにラクスという男が言う。
このふたりくらい殺してここから出ることができたが、なんとなく釈然としないのでそのまま成り行きを見ていると、女性の方がこちらを見た。
「普通ならそうじゃが、ルシェイドがここに送ってきたのでな。殺さずにおけと、いうことじゃろう」
「……だからって何で俺が」
「他に誰かおるかぇ?」
「いねぇよ! わかったよやるよ! やればいいんだろ!」
「わかれば良い」
漫才のようなふたりに、つい口元が緩む。
「くそ! 笑われてんじゃねぇかよ!」
ラクスは顔を手で覆って天を仰ぐ。
「……じゃあ、ついて来いよ」
気を取り直したのか、こちらを見て促す。
「しっかりせいよ」
「……覚えてろよ! ヒウリ!!」
捨て台詞を残して部屋から出ていく。
「ほれ、おんしも早う行かんか。ぐずぐずしておると衛兵を呼ぶぞ」
「……ひとつ聞きたい。あの、少年は誰だ?」
「ふむ? ルシェイドのことかぇ?」
「金の目の……」
言いかけると、ヒウリは微笑んだ。
「彼はおんしを殺さなんだ。そのうち会えるじゃろうて」
「早くしろよ! おいてくぞ!」
少し遠くから声が聞こえてくる。
「これをやろう。記念じゃ」
近くの机に近づき、その上においてある袋を手に取る。
それをこちらの方角にあやまたずに投げたので、感心してヒウリを見た。
「友人の目が覚めた祝いでな。少し残っておったからの」
「……ありがとう」
礼を言うと、柔らかな笑みを見せた。
「ではな」
片手を挙げるヒウリを残して部屋から出る。
通路の奥の方でラクスが待っていた。
「何やってんだよ。早くしないと祭りが終わるぞ」
小走りに近くまで行くと、なぜか驚いたように目を丸くしている彼と眼があった。
「……何か」
「いや、おまえって足音全然しねぇのな。すげぇ」
変なところで感心されてしまった。
「ところで何しにこんなところまで来たんだ?」
「フェイネスを殺しに」
普通に答えると、ふぅんと言ってラクスは数秒黙った。
そして首を傾げると、歩調を緩めた。
「それって、暗殺ってことか?」
「まぁ、有体に言えばそういうことだが」
「でも運が悪かったよな。ルシェイド相手じゃ誰もかなわねぇよ」
「侵入者だそうじゃ。城の外まで送ってやれ」
「侵入者なら捕まえるとかしないのか?」
呆れたようにラクスという男が言う。
このふたりくらい殺してここから出ることができたが、なんとなく釈然としないのでそのまま成り行きを見ていると、女性の方がこちらを見た。
「普通ならそうじゃが、ルシェイドがここに送ってきたのでな。殺さずにおけと、いうことじゃろう」
「……だからって何で俺が」
「他に誰かおるかぇ?」
「いねぇよ! わかったよやるよ! やればいいんだろ!」
「わかれば良い」
漫才のようなふたりに、つい口元が緩む。
「くそ! 笑われてんじゃねぇかよ!」
ラクスは顔を手で覆って天を仰ぐ。
「……じゃあ、ついて来いよ」
気を取り直したのか、こちらを見て促す。
「しっかりせいよ」
「……覚えてろよ! ヒウリ!!」
捨て台詞を残して部屋から出ていく。
「ほれ、おんしも早う行かんか。ぐずぐずしておると衛兵を呼ぶぞ」
「……ひとつ聞きたい。あの、少年は誰だ?」
「ふむ? ルシェイドのことかぇ?」
「金の目の……」
言いかけると、ヒウリは微笑んだ。
「彼はおんしを殺さなんだ。そのうち会えるじゃろうて」
「早くしろよ! おいてくぞ!」
少し遠くから声が聞こえてくる。
「これをやろう。記念じゃ」
近くの机に近づき、その上においてある袋を手に取る。
それをこちらの方角にあやまたずに投げたので、感心してヒウリを見た。
「友人の目が覚めた祝いでな。少し残っておったからの」
「……ありがとう」
礼を言うと、柔らかな笑みを見せた。
「ではな」
片手を挙げるヒウリを残して部屋から出る。
通路の奥の方でラクスが待っていた。
「何やってんだよ。早くしないと祭りが終わるぞ」
小走りに近くまで行くと、なぜか驚いたように目を丸くしている彼と眼があった。
「……何か」
「いや、おまえって足音全然しねぇのな。すげぇ」
変なところで感心されてしまった。
「ところで何しにこんなところまで来たんだ?」
「フェイネスを殺しに」
普通に答えると、ふぅんと言ってラクスは数秒黙った。
そして首を傾げると、歩調を緩めた。
「それって、暗殺ってことか?」
「まぁ、有体に言えばそういうことだが」
「でも運が悪かったよな。ルシェイド相手じゃ誰もかなわねぇよ」
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