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2012/02/05 (Sun)
「やぁ起きたね。さ、そこに座って。これでも飲んで」

 暖炉のある部屋に入ると、母親は笑顔を見せて机に導くと湯気のたったカップを手渡した。
 すぐに料理が運ばれてくる。
 温かいスープと麦のパン。

「足りるかい?」
「はい。十分ですヨ」
 ありがたくそれらを食べ、馬車の時間までのんびり過ごす。

 お弁当に、といって包んでくれた食べ物を持って、馬車が来るという場所にいく。
 丁度今からスティリールに行くという馬車を見つけた。
 訳を言って乗せてもらう。

 村から離れるととたんに寒くなる。
 結界から離れたからだと、御者が教えてくれた。
 遠ざかっていく村を見て、シャイレア島を出たときを思い出す。
 あの時は東旭がいた。
 そして手を振ってくれていた。


 スティリールは花の街だ。
 文字通り植物の花を売っているところも多いが、花街も多い。
 街中いたるところが花だらけだった。

 ウェルたちの母親が言っていたとおり、ここからロスウェルに行く馬車はほぼ満員だった。
 何とかもぐりこむことに成功する。
 にぎやかな街を見て、東旭たちもたまにはこういうところにくればいいのにと思った。
 すでに予定より1週間ほど遅れているので、スティリールは唯通過しただけだった。
 祭りもあることだし、できれば花のひとつでも買っていけばいいのだが、時間が無いためただ見送る。

 この仕事が終われば、島に帰れる。

 そう考えて、薄く笑う。
 いつの間にあの島が自分の帰るところになったのだろう。
 昔にいたところよりはまだましだけれども。

 それでも。
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