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2012/02/05 (Sun)
「あ、おふたりサン、東旭がどこにいるか知りませんか?」

 声をかけられてそちらを見ると、酒星が立っていた。
 にこにこした顔。
 いつもの。

「……」

 止まってしまったこちらを見て、彼は少し戸惑ったようだ。
「どうか、したんですか?」
「……それはこっちのセリフだよ……」
「おまえ! 無事だったのか!?」
 顔を伏せる薄氷の言葉にかぶせるように叫ぶと、酒星はきょとんとした顔をして言った。

「何がです?」
「だって船が転覆したって聞いて……」
「あー転覆しましたネェ」
「何で平気なんだよ!」
 混乱してつい怒鳴る。
「落ち着けよ」
 薄氷が勢いよく頭をはたいてくる。
 あまりに勢いがついていたのでそのまま膝をついてしまったほどだ。

 笑い声に顔を上げると酒星が笑っていた。
「相変わらずですね、ふたりとも」
「相変わらずって、まだ出かけて1週間しかたってねぇだろ!」
「……1週間?」
 首を傾げて聞いてくる。

 こうやって見ると暗殺を生業にしているようには見えない。
 柔らかな金の髪が日に反射してきらめく。
「少なくとも3週間たってる予定なんですけどネ……」
「予定って……」
「暗殺失敗しちゃったんですヨ」
 さらりと笑顔で言ってくる。
「……ロスウェルにまで行ってきたのか?」
「イーアリーサに流れ着きまして。そこから」
 薄氷は腕を組んでうつむく。
「そうだな。どうやっても1週間じゃ無理だな」
「え、そうなのか?」
 聞くと、ものすごく嫌そうな顔で薄氷が見てきた。

「普通にヴェリィサからいっても2週間以上はかかるんですヨ。帰りはヴェリィサから来ましたし」
 冷笑でもって答えない薄氷にかわって、酒星が説明してくる。
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