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2012/02/05 (Sun)
「酒星、東旭なら診療所にいたよ」
 薄氷が横から口を挟む。

「そうですか。それじゃ、これはおふたりに」

 言って酒星が渡してきたのは緑色の石。
 薄氷が貰ったのは蒼い石のようだ。

「へぇ、綺麗だな、これ」
「ずいぶん力のある石みたいだけど、どうしたんだ?」
 薄氷が怪訝そうな顔で酒星を見る。
「アタシももってんですがね。多分おふたり似あうかと思って」
 ほら、と示したのは赤い石。
 綺麗な。
「貰ったんですよ。綺麗でしょう」
 そういうと、酒星はふたりに手を振りながら診療所の方に向かった。

「……なんかおまえ俺のこと目の敵にしてないか?」
「してるわけないだろ。……からかいやすいだけさ」
 口の端だけあげて笑い、薄氷は先に進む。
 目指しているのは食堂の方だ。

 食堂に行くと食事はもう少し後だと断られた。
 町の外に向かおうとする薄氷に声をかけると、肩越しに答えが返ってきた。
「散歩だよ。ついてくんな」
 首を傾げつつ、薄氷に背を向けて自分の家のほうに向かう。
 酒星のことで不安だったので、なんだか気が抜けてしまった。
 港の方角から吹く風に煽られながらのんびり歩く。

「踏青ー! ちょっと来てー!」
 声のする方角を見ると、小さな子供がいた。
 海岸のある方だ。まだ遠いので良く見えない。
 近くに行くと、それが誰だかわかった。

「何だよ、何かあったのか? 高西風」
 彼は小さいながらも殺人者としてこの島に住んでいる者だ。
 小さいといっても東旭たちとたいした差はない。

「僕ひとりじゃ持ち上がんないからさ、ちょっと来てって!」
「持ち上がんない? 何が」
 首を傾げつつ、後についていく。

 海岸に近づくにつれて、何かが倒れているのが目に入った。
 最初はただのごみかと思った。
 ごみにしては結構でかい。

 次に目に入ったのが白っぽい色。
 そして金色。
 きらきらと日に反射している。

「……人?」
 半ば呆然と呟く。

「何で人が、こんなとこに?」
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