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2012/02/05 (Sun)
 ロスウェルについたのは、スティリールを出てから約3日後だった。

 馬車を使ったので、本来なら1日ちょっとで着くはずが、途中で故障したりとずいぶん遅れた。
 壊れるはず無いんだけど御者はぼやいていたが、何とか辿り着けたのは彼の腕のおかげだろう。
 いつ崩壊しても仕方ないと思えるほどに馬車はいくら直しても壊れた。
 時には車輪が外れ、危うく横転する事態に陥ったときもあった。
 そのことに違和感をもったが、そのときはたいして気にもとめなかった。


 ロスウェルはスティリールほどではないが花が溢れていた。

 それと同時に風もあるので、花は常に空を舞っている。
 この祭りが風花祭と呼ばれる所以だ。
 シェスタ王家が、聖霊を呼んで風を吹かせているという一説もある。

 とりあえず、目的地には着くことができた。
 あとは、どうやって城に近づくか、だ。


 そのチャンスは割合早くやってきた。
 広場で何かがあるらしく、祭りにやってきた者もほとんどがそっちに行ってしまっている。
 なるべく目立たないように広場を進み、城に向かう。
 城の警備の者たちも祭りが気になっているのか上の空だ。
 音を立てずに、影の中を移動するように走っていく。

 城の中に入ったときでも、誰にも気づかれなかった。
(簡単すぎる)
 緊張を解かないように気をつけながら、部屋があるであろう最上階に向かって走る。

 足音はまったくしない。
 流れる影のような。


「まるで猫のようだね」


 突然響いた、囁くような高い声に、思わず柱の陰に隠れる。

 どこから聞こえたのかとまわりを見回すが、視界に入る場所にはいない。
 性別の測りにくい高い声。
 子供のようだった。

「そんなに警戒しなくても、このまま帰れば見逃すよ?」
 笑いを含んだ声で、子供が言う。

 観念して柱から出ると、その子供は廊下の真ん中に立ってこちらを見ていた。
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