小説用倉庫。
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いくらも行かないうちに、あたりには死臭が漂い始めた。
顔をしかめて歩を進める。
四方に気を配りつつ、前方に見えてきた赤い色めがけて歩いていく。
鮮やかな、けれど幾分黒ずんできているそれを目にし、口元を覆う。
「……やっぱ慣れないな……」
呟く。
と、不意にまた目の前に人影。
今度は来ることがわかっていたので何とか避ける。
「――失せろと、言ったはずだ……ッ!」
軋むような声。
アィルは半ば自嘲気味に言葉を返す。
「……はいそうですかと、帰れねぇんだよ」
ヴィオルウスそっくりのそれは、眦をさらにきつく吊り上げた。
ここは一体何なのか、聞こうと口を開いたところで、目の前に短剣が迫っていた。
「ぅわ……ッ!」
間一髪で避ける。
ヴィオルウスは繰り出した短剣をそのまま今度は横凪ぎに払ってきた。
今まで見てきたヴィオルウスとは思えないほどの速さで、アィルは避けるので精一杯だ。
このまま防戦一方では勝ち目はないと判断して、注意を向けつつ、周りに何かないか視線をめぐらす。
ふと、視界の隅に薄暗いぼんやりとした影を見つけた。
そちらに気を取られた瞬間、ヴィオルウスが足で払ってくる。
「危ねぇ……!」
避けきれずに倒れたその顔の横の地面に、短剣の刃が突き刺さった。
アィルはさらに短剣を振り上げてくるヴィオルウスを突き飛ばし、先ほど見つけた影の方に走った。
それを見たヴィオルウスの顔色が変わった。
一瞬の変化。
けれど疑問を覚えるには充分すぎるほどの。
転がされていたヴィオルウスがアィルを止めようとすばやく起き上がり、手を伸ばす。
それを避け、足を踏み入れた瞬間、アィルは思わず息を飲んだ。
目の前と、背後のヴィオルウスを交互に見る。
口惜しそうな、なんともいえない顔をしてヴィオルウスは短剣を下ろした。
「どういうことだ……。何なんだよ、これは!」
アィルの足元には、蹲ったヴィオルウスがいた。
そして、後にも。
顔をしかめて歩を進める。
四方に気を配りつつ、前方に見えてきた赤い色めがけて歩いていく。
鮮やかな、けれど幾分黒ずんできているそれを目にし、口元を覆う。
「……やっぱ慣れないな……」
呟く。
と、不意にまた目の前に人影。
今度は来ることがわかっていたので何とか避ける。
「――失せろと、言ったはずだ……ッ!」
軋むような声。
アィルは半ば自嘲気味に言葉を返す。
「……はいそうですかと、帰れねぇんだよ」
ヴィオルウスそっくりのそれは、眦をさらにきつく吊り上げた。
ここは一体何なのか、聞こうと口を開いたところで、目の前に短剣が迫っていた。
「ぅわ……ッ!」
間一髪で避ける。
ヴィオルウスは繰り出した短剣をそのまま今度は横凪ぎに払ってきた。
今まで見てきたヴィオルウスとは思えないほどの速さで、アィルは避けるので精一杯だ。
このまま防戦一方では勝ち目はないと判断して、注意を向けつつ、周りに何かないか視線をめぐらす。
ふと、視界の隅に薄暗いぼんやりとした影を見つけた。
そちらに気を取られた瞬間、ヴィオルウスが足で払ってくる。
「危ねぇ……!」
避けきれずに倒れたその顔の横の地面に、短剣の刃が突き刺さった。
アィルはさらに短剣を振り上げてくるヴィオルウスを突き飛ばし、先ほど見つけた影の方に走った。
それを見たヴィオルウスの顔色が変わった。
一瞬の変化。
けれど疑問を覚えるには充分すぎるほどの。
転がされていたヴィオルウスがアィルを止めようとすばやく起き上がり、手を伸ばす。
それを避け、足を踏み入れた瞬間、アィルは思わず息を飲んだ。
目の前と、背後のヴィオルウスを交互に見る。
口惜しそうな、なんともいえない顔をしてヴィオルウスは短剣を下ろした。
「どういうことだ……。何なんだよ、これは!」
アィルの足元には、蹲ったヴィオルウスがいた。
そして、後にも。
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