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2012/02/05 (Sun)
「……アィル……ヴィオルウスに、何をされた?」
 さっきの怒りをようやく静めたのか、ルシェイドが口を挟む。
「何って……」
「さっき。君が飲み込まれてから」

『わたしの中に入ってくるなッ!!』

 どくりと、心臓が脈打つ。
 思い出されたのはさっきの場景。
 赤い色。
 突然の出来事。
「……刺された。短剣で……」
 感触を思い出して胸元を抑える。

 囁きに色を変えたのはルシェイドだった。
「刺された……?」
 ルシェイドはアィルが抑えている胸のあたりを掴むと、前をはだけさせた。
「いてぇよ! 何だ!」
 突然だったので、アィルは後に頭をぶつけてしまう。
 そんなことはお構いなしとばかりに無視すると、ルシェイドは刺されたというあたりを真剣に目で追っていく。

「ディリク」
 顔も見ずに名前を呼ぶ。
 それだけでわかったのか、ディリクは部屋を明るくした。

「……間違いない。何てことだ」
「何が」
 疑問に思ってルシェイドが見ているところを見てみると、かすかに赤くなっているのが見えた。
「これか」
「そうだよ……」
 アィルにはわからないが、ふたりにはそれでわかるらしい。
 いらだたしげに口を挟む。
「ただ赤くなってるだけじゃねぇか」
「……これは魔法文字だよ。ずいぶん緻密だけど……」
 それが何なのか、なんとなく釈然としないので聞こうと口を開きかけるが、ディリクに制されてしまった。
「しばらく黙ってろ」

「……ディリク、明かり消して。全部」
 言うと同時に部屋の中の明かりが消える。
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