小説用倉庫。
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石が割れる。
それがどういう意味を持つのか。
この時点ですべてわかっている人物はほとんどいなかった。
カタン、と音がして、薄暗い建物の影からひとつの人影が現われた。
ウェーブの髪を背に流し、ふらりと歩いている。
そこは中央の大地。
国主アンスリウムが治める国、メディウム・トゥッリスの塔の中。
幾枚もの薄布が天井から垂れ下がる場所を、彼女は迷うことなく歩く。
国主の付き人である彼女にとって、この塔の中は庭のようなものだ。
ほんのかすかな衣擦れの音しかしない空間の中で、つと、彼女は足を止めた。
目の前には大きな扉。
身長の4倍はあろうかというそれは、彼女が軽く触れるだけで開いた。
「……アザミか」
奥から聞こえる深い声に、彼女、アザミは部屋の中に入った。
背後で扉が閉まる。
「思うように運びませんわ。……アンスリウム様」
「良いよ。期待はしていなかった」
アンスリウムは大して面白くもなさそうに笑った。
暗く、低い、笑い声。
「どのみち、落ちるのは時間の問題だ……」
その時突然地震があった。
家具が倒れ、お茶の入ったカップが床に落ちる。
サキはレイラを庇い机の下に隠れ、その地震をやり過ごした。
時間的には10分もなかっただろう。けれどその地震のせいで、かなりの被害が出たことはたしかだった。
そのことを思い、ため息をついて机から出る。
「怪我は、ないか?」
「大丈夫です……。大きかったですね」
「ああ、何か、いやな予感がする」
それがどういう意味を持つのか。
この時点ですべてわかっている人物はほとんどいなかった。
カタン、と音がして、薄暗い建物の影からひとつの人影が現われた。
ウェーブの髪を背に流し、ふらりと歩いている。
そこは中央の大地。
国主アンスリウムが治める国、メディウム・トゥッリスの塔の中。
幾枚もの薄布が天井から垂れ下がる場所を、彼女は迷うことなく歩く。
国主の付き人である彼女にとって、この塔の中は庭のようなものだ。
ほんのかすかな衣擦れの音しかしない空間の中で、つと、彼女は足を止めた。
目の前には大きな扉。
身長の4倍はあろうかというそれは、彼女が軽く触れるだけで開いた。
「……アザミか」
奥から聞こえる深い声に、彼女、アザミは部屋の中に入った。
背後で扉が閉まる。
「思うように運びませんわ。……アンスリウム様」
「良いよ。期待はしていなかった」
アンスリウムは大して面白くもなさそうに笑った。
暗く、低い、笑い声。
「どのみち、落ちるのは時間の問題だ……」
その時突然地震があった。
家具が倒れ、お茶の入ったカップが床に落ちる。
サキはレイラを庇い机の下に隠れ、その地震をやり過ごした。
時間的には10分もなかっただろう。けれどその地震のせいで、かなりの被害が出たことはたしかだった。
そのことを思い、ため息をついて机から出る。
「怪我は、ないか?」
「大丈夫です……。大きかったですね」
「ああ、何か、いやな予感がする」
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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