小説用倉庫。
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地震よりも少し前、炎の国メリーディエース。
国主ユゥアは、付き人アールドルと共に街に下りていた。
「相変わらずにぎやかだね!」
「まあ、国主があんただからね」
「言うじゃないか」
「言わないとわかんないでしょうが」
言い争いのような感じで、けれど親しみのこもった口調で話すふたりに、街の皆が挨拶をしていく。
「やぁ。あとで、持っていくかい?」
店においてある果物を手に、初老の人が話し掛ける。
気のいい果物屋だ。
「ああ、じゃあ帰りに寄らせてもらうよ!」
元気に答えて、ユゥアは片手を挙げる。
「安請け負いしないでよ……それで荷物重くなったらどうすんの」
「あたしは自分に正直に生きてんだ!」
「や、それはわかってるんだけど」
「じゃあ諦めなって」
明るく笑ったユゥアに、アールドルは疲れたように笑った。
柱が崩れた。
何の前触れもなかった。
逃げる暇さえも。
地面が揺れた。
体が一瞬浮くほどに強く。
その後すぐに地面が裂けた。
崩れる大地。人や建物はまるでゴミか何かのように簡単に落ちていった。
人々の悲鳴は長く、けれどそれ以上に建物や大地の裂ける音でかき消されていった。
崩壊はそんなに長い時間、かからなかった。
ほとんど時間をかけずに、すべては青く光る海に飲み込まれた。
長く存在していた拮抗が、崩れ始めていた。
この時点から、南の大地は永遠に消えうせた。
国主ユゥアは、付き人アールドルと共に街に下りていた。
「相変わらずにぎやかだね!」
「まあ、国主があんただからね」
「言うじゃないか」
「言わないとわかんないでしょうが」
言い争いのような感じで、けれど親しみのこもった口調で話すふたりに、街の皆が挨拶をしていく。
「やぁ。あとで、持っていくかい?」
店においてある果物を手に、初老の人が話し掛ける。
気のいい果物屋だ。
「ああ、じゃあ帰りに寄らせてもらうよ!」
元気に答えて、ユゥアは片手を挙げる。
「安請け負いしないでよ……それで荷物重くなったらどうすんの」
「あたしは自分に正直に生きてんだ!」
「や、それはわかってるんだけど」
「じゃあ諦めなって」
明るく笑ったユゥアに、アールドルは疲れたように笑った。
柱が崩れた。
何の前触れもなかった。
逃げる暇さえも。
地面が揺れた。
体が一瞬浮くほどに強く。
その後すぐに地面が裂けた。
崩れる大地。人や建物はまるでゴミか何かのように簡単に落ちていった。
人々の悲鳴は長く、けれどそれ以上に建物や大地の裂ける音でかき消されていった。
崩壊はそんなに長い時間、かからなかった。
ほとんど時間をかけずに、すべては青く光る海に飲み込まれた。
長く存在していた拮抗が、崩れ始めていた。
この時点から、南の大地は永遠に消えうせた。
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