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2012/02/05 (Sun)
 一通り案内し終える頃にはウォルファーの表情は浮かないものになっていた。
 まぁ無理も無いだろう。

 最後の部屋であるリーヴァセウスの部屋の前で彼を振り返る。
「此処が最後だ」
「か、隠し扉とか……」
「無ぇよ」
 断言すると目に見えて肩が落ちた。
 何だか段々気の毒になってきたな。
 だけど憐れんだところで居ないものは居ない。

 扉に手をかけようとした時、中から何か倒れる音が聞こえた。
 続いて火がついたような泣き声。
 これはグラディウスか。
 直ぐに扉を押し開ける。

 入って直ぐは執務室になっていて、右に執務机、左にソファが置いてある。
 正面は大きな窓だ。
 曇った空と木しか見えないけど。
 素早く室内に視線を滑らせると、ソファにリーヴァセウスが座っているのが見えた。
 ぐったりとしていて意識が無いようだ。
 その傍らに、ルシェイドが倒れている。
 グラディウスは少し離れたところで泣いていた。

「ウォルファー、グラディウスを頼む!」
「え……あ、うん!」
 返事を待たずに走る。
 近づくと、二人とも意識を失っているだけだという事が分かった。
 外傷は無い。
 魔族の死体は残らないので、実際死んでいたとしたら一目でわかるんだが、この時は本当に動揺していたようだ。
 床に倒れたままのルシェイドをソファに横たえる。
 向き直ってリーヴァセウスに小声で呼びかけるが、返事は無く、起きる気配も無い。

 ただ呼吸が深い。
 昏睡状態に近いのかもしれない。
 さらに呼びかけると、誰かに肩を掴まれた。
 振り返ってみると、ルシェイドだった。
 気がついたらしい。
 だが顔色が酷く悪い。
 元々色は白めだが今は紙のような白さだ。
 肩を掴む手も弱々しい。

「起こさないで」
 意外としっかりとした声だ。
 俺は困惑してリーヴァセウスから手を離す。
 少し離れたところではウォルファーがグラディウスを抱きしめ、頭を撫でてやっていた。
 目に涙を溜めたまま、グラディウスはこちらを凝視していた。
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