忍者ブログ
小説用倉庫。
HOME 212  213  214  215  216  217  218  219  220  221  222 
2024/11/23 (Sat)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2012/02/05 (Sun)
 ルシェイドが深く息をついてソファにもたれる。
 動作は酷く遅く、動きにくそうだ。
「……休ませて、あげて」

「何があった」
「何も」

 問い詰めるような口調にも、彼はかぶりを振って答えない。
「何も無くて、何でテメェらが倒れてて、グラディウスが泣いてんだよ」
「僕が倒れたのはただの疲労。グラディウスは倒れた事に驚いて泣いたんだ。……リーヴァセウスのことは、本人に聞いてくれるかな。話して良いのか僕には分からないから」
 ルシェイドはそこまで一気にまくし立てると片手で目元を覆った。
 話をすることもしんどそうだ。

「……別に、話しても構わないよ」
 この、声は。
「リーヴァセウス……」
「もう……気がついたのかい?」
「うん。……あんまり、深く眠れなくなったからね」
 そう言って、リーヴァセウスは俺たちに視線を向けた。
「……それより、彼は目が覚めたんだね」
 やわらかく微笑む。
 視線の先は。

「あぁ、ウォルファーという。興味深い話を、聞いたからな」
「興味深い話?」
 怪訝そうな顔をするルシェイドに、俺は少し肩を竦めてみせた。

「この城は人を攫ってくるらしい」
 二人はきょとんとした表情でウォルファーに視線を送った。
「や、でも今は中を見せてもらったし、間違いだって分かってるから!」
 慌てたようにウォルファーが手を振る。
「疑ってはいないよ」
 笑って、リーヴァセウスが言う。
「詳しくは、町の奴らを何人か締め上げりゃ、何かわかるだろ」
 拳で手のひらを叩く。

 だが、ルシェイドは静かに口を開いた。
「その必要は無いよ」
「……何?」
「噂の出所と、攫われた人がいる場所はわかってる」
 きっぱりと。
 ルシェイドは何でもないことのように断言した。
Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Password
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
HOME 212  213  214  215  216  217  218  219  220  221  222 
HOME
Copyright(C)2001-2012 Nishi.All right reserved.
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞

文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
[長編] Reparationem damni  (03/12)
[長編] Reparationem damni  (03/12)
[長編] Reparationem damni  (10/19)
[長編] Reparationem damni  (10/19)
[長編] Reparationem damni  (09/07)
忍者ブログ [PR]
PR