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2012/02/05 (Sun)
 客室の前で足を止める。
「……」

 数瞬の間を置いて、一気に扉を開け放つ。
 風を切る音に反射的に上体を反らせると、目の前を鉄の刃が通り過ぎていった。
 まぁ予想通りではあるんだが。
 相手が体勢を立て直す前に一歩踏み込み、振り下ろされた鎌の刃を蹴り飛ばす。
「……ッ!?」
 鎌が部屋の隅まで飛ばされる。
 侵入者の男はそれを驚きに目を見張って視線で追う。
 相手の驚きなんざ知ったことじゃないが、こういう立会いで視線をそらすなんて余程の馬鹿だ。
 視線の反対側から側頭部を殴りつけ、床へと引き倒す。
 足で身体を固定し、片手で目元を覆うように頭を押さえつけた。
 一応手加減はしているが、予想よりぐったりしている気がする。
 強く殴りすぎたか?
 まぁ心配したってしかたねぇだろうけどさ。
 というより自業自得だろうがな。

「何が目的だ?」
 低く囁く。
 抵抗があったがあまりに弱々しいので放置。
 さらに押さえつける必要も無い。

「……は、なせッ……!」
 第一声がそれかい。
 半ば呆れつつ、威嚇の為に頭を押さえる手に力を込める。
「質問に答えろ。返答如何によってはこのまま握りつぶすぞ」
 手の中で、頭蓋がみしりと音を立てた。
 やってやれないこともないが、脳髄の感触はあまり好きではない。

 さてどう出るかな。

「……痛ッ……! 言、う、からッ! ……離せよ!」
「……」
 ゆっくりと片手を離す。
 案外簡単に従うのか。
 身体はまだ押さえたままだから、容易には動けないだろう。
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