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2012/02/05 (Sun)
「……まぁ、その辺で良いんじゃないかな。大事無かったんだし……」
 リーヴァセウスが割って入るが、俺としては二人ともに言いたい事があるわけで。

「それで、お前は何でこんな所に居るんだ?」
「え?」
「部屋で安静にしてろって言っておいたよなぁ?」
「でもずっと寝てるのって退屈なんだよ」
「昨日まで起き上がれないほど衰弱してたのは何処のどいつだ」

 言った途端、リーヴァセウスではなくルシェイドが身を強張らせた。
 さっきの会話に関わることだろうとは思ったが知らない振りをする。

「……リーヴァセウス」
 どこか咎めるようなルシェイドの口調に、リーヴァセウスが苦笑する。
「大丈夫……」
「……じゃねぇだろ」
 言いかけた言葉を否定させる。
 顔色はいまだ青白い。
 初めて会った頃より、確実に、彼は衰弱していた。
「お前ら、いいからもう部屋で大人しく寝てろ」
「えー」
 二人の声がハモる。
「ざけんなよ。倒れられたらこっちがいい迷惑だ。分かったらとっとと部屋に戻れ!」

「彼はどうするの?」
「俺が話を聞いておく。対処はそれからだろ」
 二人はしぶしぶ立ち上がり、部屋へと向かった。
 脱走を謀らないようにあとで誰か送り込んでおこう。
 見送りながら誰を送ろうかと迷う。


 その時、聞こえない音が響いた。
 空気を震わす無音の声。
 侵入者が起きた時に分かるようにと、仕掛けておいたものだった。
 もう起きたのか。
 先ほど行って来たばかりの客室に急ぎながら、舌打ちしたい気分だった。
 もう少し人がいれば楽なのに。

 ふと。
 昔はまだ人が居たはずだ。
 いつからだ。
 いつからこんなに人が居なくなった。
 記憶に靄がかかったようで思い出せない。
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