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2012/02/05 (Sun)
 彼は不機嫌そうに青い目を眇めて、俺を見返してきた。
「……重いんだけど」
「俺が軽そうに見えるのか?」
「そうじゃなくて! どけって言ってんの!」

 憤慨されようが聞く義理は無い。
「嫌なこった。後ろから攻撃されるのはごめんだからな」
 わざとらしく転がったままの鎌に視線をやると、抵抗が止んだ。

「もうやらない。あんた強いから」
「……名は?」
「ウォルファー」
 短く溜め息をついて、解放してやる。
 驚いたようにウォルファーは俺を見上げた。
 こいつこんな顔ばっかりだな。
 ぽかんとして。
 阿呆のようだ。
 まぁこれが俺だったとしても驚くだろうが。

「……何で……」
「テメェが離せって言ったんだろが」
「そ、それはそうだけど……」

「名前を聞いたからな」
 いつまでも床に座り込んでるのもあれなので手近な椅子を引き寄せて座る。
 ウォルファーとやらはまだ床に座ったままだ。
 引きつったような笑みを浮かべて彼が言う。
「……偽名だったらどうすんだよ」
 自嘲気味な、歪んだ笑み。

 何だろう。
 似合わねぇな。
 その顔。

「偽名だろうが関係ねぇよ。俺がテメェを認識する為の名前さえあれば、強制の魔法が使えるからな」
 にやりと笑うと、ウォルファーは呆気にとられた顔をしてから、酷く情けない表情になった。
「何だよ、それ……。それじゃ俺が馬鹿みたいじゃないか」
「……何だ、自覚があるわけじゃないのか」
 食って掛かるかと思いきや、不貞腐れたようにそっぽを向いてしまった。
 子供か。
 噴出しそうになるが、今は尋問の最中だ。

 まぁこれでも一応。
 笑うわけにもいかない。
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