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2012/02/11 (Sat)
「……何、僕の話?」
 唐突に響いた声は、レインの傍らから聞こえた。

 全員が驚いて見ると、話の人物、ルシェイドが枕の一つを手に暖炉の前に座っていた。
 炎の照り返しを受けて、青緑の髪が橙に染まっている。
「いつから其処に?」
「帰られたのでは?」

「今。ちょっと忠告しに戻ってきたんだよ」
 さらりと言って笑む。
 つかみ所の無い笑顔だ。
「忠告?」
「現存するあらゆる魔法って」
「世界にただ一人とはどういう意味だ」
「神界を知ってる?」

 全員がほぼ同時に聞き、ルシェイドが驚いたように瞬きをする。
「……落ち着きなよ。一人一人喋って欲しいところだけどね。……神界は知ってる。何度か行った事あるし。魔界が夜なら神界は朝のイメージだね。この世界だと金の目は僕だけだけど、他の世界には結構多いみたいだよ。魔法は現存するものも廃れたものも使える。……媒体依存系の魔法は媒体に拠るけど。それと忠告はこの町の結界の事。まだ時期には早いけど、……張り直したほうが良い」
 見渡しながらほぼ一息に言う。
 一人一人話して欲しいと言う割には全て聞き分けているらしい。

「他の世界って……さっき言ってた魔界とかか?」
 沈黙が落ちた瞬間を見計らって、ルベアが問う。
「違うよ」
 あっさりと否定し、さらに言葉を紡ぐ。
「全然別のとこ」
「ルシェイド、良いのですか? そんな事を話して」
 色を無くしたウェルがルシェイドを遮る。
 対してルシェイドはにこやかに笑って頷いた。
「大丈夫だよ。界渡りじゃ行けない所だし、行くだけの力を持った者はいないもの」
「……何だそれ」
 ルベアが憮然として呟く。
 脅威にもならないと、見下されているような気がする。

「ね、結界がどうのって、何?」
 少し考え込んでいた様子のレインが、唐突に振り返った。
「あぁ、うん。ちょっと綻びが目立ってきてるから、直したほうが良いと思って。あれだと何かあった時防げないよ」
「……分かりました。リィに伝えておきます」
 少し声のトーンを落としたルシェイドに、ウェルが神妙な顔で頷く。
 それを確認すると、ルシェイドは不意に立ち上がった。

「さて。それじゃ僕はもう行くよ」
 手に持っていた枕をレインへと渡す。
「お気をつけて」
 もう行くのか、と思ったがウェルが少し淋しそうに笑ったので、ルベアも何も言わず見送ることにした。
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