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2012/02/11 (Sat)
「そうじゃないんだ。何だか……その話を昔何処かで聞いたような気がして……」
「何処かって……」
 何処だ、と聞こうとしたところで、途方に暮れたようなレインの顔とぶつかった。
「うーん……」

「……それより、少し気になったんだが」
 混乱させすぎても駄目かと思い、話題を少し変える。
「聞いた、と言ったな。それは誰から聞いたんだ? おまえ自身の記憶ではないのか」
 問うと、オルカーンは困ったように尻尾を揺らした。
「……他の奴から聞いた……。否、学習させられた、って言う方が正しいかもしれない。……俺達魔獣族は、自然に生れるわけじゃないから、製造過程で頭に叩き込まれるんだよ」
 さらりと言われた言葉に色を失う。
「あぁでも神界の事は人づてに聞いたな。そいつは金の目をした奴に聞いたって言ってた」
 続いた言葉に首を傾げたのはレインだ。
「金の、目?」
「それってさっきの奴じゃ……」
 三人で顔を見合わせる。

 其処へ、扉を叩く音が響いた。
 一斉にそちらを見ると、入ってきたのはウェルだった。
「何か入用なものはありますか?」
「丁度良い所に」
「はい?」
「いや、こっちの話」
 訝しがるウェルに、レインがさっきの青年のことを尋ねる。
「あぁ、彼はルシェイドですよ」
 返ってきた答えはこの一言だ。
 これだけで話が通じると思っているらしい。
 皆が一様に疑問に満ちた顔で見つめると、ウェルは首を傾げた。
「ご存知ではありませんでしたか?」
「知らないな」
 ルベアが即答する。
 後の二人も頷くのを見て、ウェルが言う。

「彼は世界でただ一人の、金の目を持つ者ですよ」

「……あ!」
 オルカーンが短く声を上げる。
「知ってるのか」
 問うと、オルカーンは記憶を辿るように目を眇めて言った。
「確か、現存するあらゆる魔法に精通した調停者とか」
「そのとおりですよ」
 ウェルが笑顔で肯定する。

 ぽかんとしてレインが言った。
「現存するあらゆる魔法って……凄いんじゃないの?」
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