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2012/02/11 (Sat)
「んー、……あれ?」
 靄のかかった視界に、黒いものが移る。
 何だろうと思って手を伸ばすと、それが髪だという事がわかった。
「……?」
 レインはうとうととしながらその髪を掴むと、そのまま眠りに落ちた。

「……ッ」

 掴まれた手を乱暴に払って、ルベアはレインの頭を小突いた。
「……お前何で俺の横に居るんだよ」
「……えー……」
 レインが目をこすりながら顔を上げる。
 ルベアは半身を起き上がらせると、ベッドの上を見て溜め息をついた。

 もう一つのベッドは空だ。
 彼を真中に、レインとオルカーンが左右に寝ていたことになる。
「寝相悪いにも程があるだろうが」
「……だから、言ったじゃないか」
 半分寝ぼけた声でオルカーンがぼやく。

 再度溜め息をつきながら備え付けられた小さ目の窓を見る。
 今日も雪なのだろう。
 おかげで時間が判りにくいが、明るくなってきているようだった。
「ほら、起きろ」
 レインの肩を強く揺する。
「うー……朝?」
「そうだ。起きろ」
 辛抱強く繰り返す。
 と、重い瞼をこすり、レインが起き上がった。
 両手を上に上げて伸びをしている。
 その間にルベアは手早く荷造りを済ませた。
「……あれぇ? 何でオレベッドに寝てるの?」
 ようやく目が覚めてきたのか、レインは首を傾げてオルカーンを起こしにかかった。

 皆の目も覚めて支度も出来た頃、控えめなノックの音がした。
「どうぞー」
 のんびりとした声でレインが応える。
 扉が開き、入ってきた人物に一瞬迷う。
 白い髪。
「あ、おはよう、ラナ」
 レインは迷いもせずにその人物の名を呼んだ。
 一瞬怯んだ様子を見せたラナは、けれど直ぐに表情を改めて手に持った包みを差し出した。
「? 何これ?」
「直ぐに出てくって聞いたから。持っていけ」
 ぶっきらぼうに。
 差し出されたそれはほのかに暖かい。
「そうか。ありがとう」
 素直に礼を言っておく。
「行くんだろう? ついて来い。町境まで送る」
 投げやりに言って背を向けたラナの、僅かに覗く首元が赤い。
 あまり素直な性格ではないらしい。
 笑みを隠しながら、ルベア達はラナに続いて部屋を出た。
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