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2012/02/11 (Sat)
 レインは、と見ると、彼は開けたその中央に仰向けに横たわっていた。
 町の時も少し鈍かった。

 気づかずに倒れてしまったのかと傍らに行くと、彼は目を開いて笑った。
「此処、日が射しててあったかいね」
 無駄な心配だったようだ。
「お前はなんともないのか?」
 聞くと、不思議そうに上体を起こした。
 ゆっくりと近づいてきたオルカーンを見て、レインはもらった包みを掲げた。
「それよりこれ開けてみようよ」
 言われて開くと、彼らが作ったのだろう、パンが入っていた。
 触ってみるとまだ暖かい。
「外寒いのにまだあったかいんだね」
「……そうだな」
 一つとって食べる。
 パンは焼き立ての状態を保たれているようだった。
 いろいろな所に、惜しげも無く魔法が使われているようだった。

 暫く休みながらパンを食べ、荷物をまとめる。
 町を出たときから見えていた山は、周りの木々の所為で頂上が僅かに覗くだけだ。
 それでも未だ遠い。
 三人は誰からとも無く顔を見合わせると、また歩き始めた。


 麓の森に漸く着いたのは、あれからさらに3日がたってからだった。
 予想より遅い。
 本来なら1日2日でつくはずだ。
 原因は主に体力の無いレインだが、幸いにしてまだ連絡は無い。
「……おい、いつまでへばってる。早く行くぞ」
 ルベアが容赦なく言うと、もうちょっと、と言ってレインが項垂れた。

「どっちから行くんだ?」
 蹲ったレインの横に座って、オルカーンが問う。
 少し考えて、ルベアが答えた。
「シェンディルの方からだ」
 帰りで良いと言われている。
 急ぐものでもないだろう。
「どの辺にいるか、わかるか?」
 オルカーンは山に向けて三つの目を向けると、そのまま凝視した。

 ふわりと、毛が逆立つ。
 瞳は淡く輝き、けれど身体は微動だにしない。
 オルカーンは隠されたものでなければ、魔法の気配を視ることが出来る。
 探し人であるシェンディルは、隠れる必要の無い人間だ。
 範囲は広いが、探すのは比較的容易だろう。
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