小説用倉庫。
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「オルカーン」
周囲を警戒しながら手前を行くオルカーンの名を呼ぶ。
周囲の気配に敵意は無い。
ただ純粋に、様子を伺っているようだ。
「……何もしなければ、特に問題はなさそうだよ」
低い声で言われたことに、ルベアは少し眉を顰めた。
この中で問題を起こしそうなのは一人しかいない。
「レイン。何処へ行く気だ」
早速道の脇にある木に近寄っていったレインを、腕を掴んで引き戻す。
「不用意にふらふらするな。囲まれてるんだぞ」
「何に?」
きょとんと、レインは周囲を見回した。
「見えないよ?」
「見えないようにしてるんだよ」
オルカーンが諭すように言うとレインは首を傾げて二人を見た。
「何で?」
「さぁな。こっちの出方を伺ってるんだろう。良いからさっさと抜けるぞ」
掴んだままだったレインの腕を引っ張りながら、ルベアは足を速めた。
駆け足で、オルカーンが先に立つ。
ちらりと左右に視線をやると、木々と見紛うような深い緑色の何かが動いたような気がした。
様子を伺っている割には追いかけては来ない。
そのままの状態で暫く進み、気配が薄れたところで漸くオルカーンが歩調を弱めた。
「ル、ルベアー。腕が痛い」
息を切らしながら、レインが訴える。
「あぁ、すまん」
手を離すと、レインはその場にへたり込んだ。
「もー、二人していきなり早くなるんだもん。もうちょっとゆっくり行こうよ」
「ゆっくり行ってたら入れ違いになるかもしれないだろうが」
その時、何処に行っていたのかオルカーンが戻ってきた。
「もう少し行った所に開けた所があったから、そこで少し休んでいこう」
「だ、そうだ。ほら早く立て」
「うぅルベア酷いー」
情けない声を出しながら、レインが渋々立ち上がる。
足元は少し覚束ない。
「……もうちょっと体力つけろよ」
思わず言うと、彼は頬を膨らませた。
子供じみたその仕草に笑いを押し殺しながら、先に進むオルカーンの後をついて行く。
オルカーンが見つけたその場所は、本当にぽっかりと開けた場所だった。
鬱蒼とした中の、唯一の明るい場所。
「……此処は、その、あれだ。……安全なのか?」
歯切れ悪く問うと、オルカーンは渋い顔で頷いた。
「まぁ、見た目は怪しいかもしれないけど、害意あるものは近づけないよ」
そう言う彼は少し辛そうだ。
「……お前も害意があるのか?」
からかい半分に言うと、尻尾を一度ぱたりと振った。
此処も魔法に関係した場所なのだろうか。
ルベア自身は何とも無い。
ただ場所に違和感があるだけだ。
周囲を警戒しながら手前を行くオルカーンの名を呼ぶ。
周囲の気配に敵意は無い。
ただ純粋に、様子を伺っているようだ。
「……何もしなければ、特に問題はなさそうだよ」
低い声で言われたことに、ルベアは少し眉を顰めた。
この中で問題を起こしそうなのは一人しかいない。
「レイン。何処へ行く気だ」
早速道の脇にある木に近寄っていったレインを、腕を掴んで引き戻す。
「不用意にふらふらするな。囲まれてるんだぞ」
「何に?」
きょとんと、レインは周囲を見回した。
「見えないよ?」
「見えないようにしてるんだよ」
オルカーンが諭すように言うとレインは首を傾げて二人を見た。
「何で?」
「さぁな。こっちの出方を伺ってるんだろう。良いからさっさと抜けるぞ」
掴んだままだったレインの腕を引っ張りながら、ルベアは足を速めた。
駆け足で、オルカーンが先に立つ。
ちらりと左右に視線をやると、木々と見紛うような深い緑色の何かが動いたような気がした。
様子を伺っている割には追いかけては来ない。
そのままの状態で暫く進み、気配が薄れたところで漸くオルカーンが歩調を弱めた。
「ル、ルベアー。腕が痛い」
息を切らしながら、レインが訴える。
「あぁ、すまん」
手を離すと、レインはその場にへたり込んだ。
「もー、二人していきなり早くなるんだもん。もうちょっとゆっくり行こうよ」
「ゆっくり行ってたら入れ違いになるかもしれないだろうが」
その時、何処に行っていたのかオルカーンが戻ってきた。
「もう少し行った所に開けた所があったから、そこで少し休んでいこう」
「だ、そうだ。ほら早く立て」
「うぅルベア酷いー」
情けない声を出しながら、レインが渋々立ち上がる。
足元は少し覚束ない。
「……もうちょっと体力つけろよ」
思わず言うと、彼は頬を膨らませた。
子供じみたその仕草に笑いを押し殺しながら、先に進むオルカーンの後をついて行く。
オルカーンが見つけたその場所は、本当にぽっかりと開けた場所だった。
鬱蒼とした中の、唯一の明るい場所。
「……此処は、その、あれだ。……安全なのか?」
歯切れ悪く問うと、オルカーンは渋い顔で頷いた。
「まぁ、見た目は怪しいかもしれないけど、害意あるものは近づけないよ」
そう言う彼は少し辛そうだ。
「……お前も害意があるのか?」
からかい半分に言うと、尻尾を一度ぱたりと振った。
此処も魔法に関係した場所なのだろうか。
ルベア自身は何とも無い。
ただ場所に違和感があるだけだ。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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