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2012/02/11 (Sat)
 横から、ルベアが口を挟んだ。
「関係ある者とは何だ?」
 レインの記憶が無いことまで知っているらしい。
 何処まで、知っているのだろう。

「……そうだなぁ。ヒントをあげようか」
 ルシェイドはにこりと微笑むと、短く言った。
「レインの血縁者が、この世界にいるよ」

「広いよ」
 オルカーンが間髪いれず声を上げる。
「もうちょっと狭くならない?」
「ならないねぇ。まぁ、そのうち会えるよ」
 がんばりなさい、と言ってルシェイドはひらりと手を振る。
 本当にそれ以上教える気はなさそうだ。
 不満そうに眉を寄せていると、ウェルが驚いたように言った。
「珍しいですね。ルシェイドが助言をするなんて」
 今のでか? という顔でウェルを見ると、彼は苦笑した。
「いつもなら撹乱するような事を言っておしまいですよ。この世界にいるということは界渡りは必要ないということでしょう?」
「まぁねー。戻るつもりも無いみたいだし、ね」
 何処か遠い目でウェルの問いに答える。

「界渡り?」
 聞きなれない言葉だ。

「ん? あぁ、それならそっちの彼が詳しいだろう」
 そう言って、ルシェイドはオルカーンを指した。
「……まぁ、もともとそっちから来たんだし……」
 何故か決まり悪そうに頭を下げる。
 皆の視線が集中していることに耐えられなくなったのか、オルカーンはルシェイドに声をかけた。
「なぁ、俺の探してるものにはヒントはくれないのか?」
「……界渡りは必要だろうね。彼は一度もこっちに来た事無いし」
 あっさりと言われ、オルカーンが尻尾を床につけた。

「ルベアは……」
 と視線を向け、睨み付けられていることに気づき苦笑する。
「言わなくてもそのうち分かるだろう。一番の近道はこのまま旅を続けることだね」
 核心には何も触れず、ルシェイドが言葉を切る。
 ルベアは苦虫を噛み潰したような表情で視線をそらす。

 彼は、知っているのだ。
 名前も、旅をする理由も。
 油断はならない。

 ルシェイドは一つ手を打つと明るく言った。
「さぁ、後は無いかな?」
 その言葉に、ルベア達は顔を見合わせる。
「無いようでしたら、今日は此処に泊まっていかれますか? もうすぐ日も暮れますし」
 辞退しようと口を開いたところで、レインとオルカーンの眼差しに気がついて一瞬口を噤み、そして言った。
「ありがたくその申し出を受けよう」

 レインとオルカーンの嬉しそうな顔を視界の隅に納めつつ、ルベアはこっそりと溜め息をついた。
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