小説用倉庫。
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翌日、起きた時には日はもう高く上がっていた。
寝過ごした、と思いつつ階下に降りていくと、誰もいなかった。
どうしたものか、と思っていると奥の部屋で物音が聞こえたのでそちらに行ってみる。
物音がしているのは階段奥の部屋だった。
この部屋に入ったことは無い。
こつこつ、と躊躇いがちに扉を叩く。
中から一際大きな音がした。
「ちょ……ッ! 待って開けんな!」
中から慌てたようなアィルの声が響いた。
ルベアは驚いて、扉を叩いていた手をそのままに硬直する。
ややあって、扉が内側に開かれた。
顔を覗かせたアィルは、扉の前に立っていたルベアを見て驚いたようだった。
「すまん、邪魔をしたか」
アィルの背後に見える部屋の中は暗い。
窓はあるようだが、完全に閉ざされていた。
ちらりとアィルは背後に視線を送り、苦笑して答えた。
「いや、光を与えずに置いておかないといけない薬だから慌てただけだよ。それより……っと、もうそんな時間か?」
光の差し込む廊下を見て、アィルが問う。
「朝でないことは確かだ」
「ヴィオルウスは?」
「下にはいなかった」
そう答えたところで、階段を下りる足音が聞こえた。
音からすると話の人物だろう。
予想違わず、ヴィオルウスがこちらへやってくるのが見えた。
「おう。どうした?」
アィルが片手を上げて聞くと、ヴィオルウスはちらりとルベアに視線を送ってから答えた。
「紫電の実、ある?」
「何に使うんだ?」
「媒体にしようかと思って」
「分かった」
アィルは頷くと身を翻した。
暗い室内へと消えていく。
室内は扉から入る光でかろうじて物の判別ができるくらいだ。
だがアィルは迷うことなく棚の一つに近づき、小さな箱を手にして戻った。
「ひとつで良いのか?」
「うん」
ヴィオルウスはアィルから紫色の小さな実を受け取ると、また階段を上がっていった。
「薬の方はもう少しかかりそうなんだけど……ヴィオルウスが用意し終わるまでには終わると思う」
疑問に思って、ルベアが首を傾げる。
「用意?」
「あぁ、移動の用意だよ。今媒体持ってったろ。だからまだかかりそうだな」
そう言って、アィルは伸びをした。
そのまま部屋を出ると、扉に鍵をかける。
疑問に思って見ていると、その視線に気づいたのかアィルは笑って言った。
「閉めとかないと、劇薬もあるし、作りかけの薬を台無しにされたら大変だからな」
歩き出す彼につられて、ルベアも歩き出した。
「あんたが必要としてる薬は、暫くそのままにしておかないと駄目なんだ。だから今はやることないんだよ」
「そうなのか」
相槌を打つと、アィルがくるりと振り返った。
「飯の後で良いんだけど、ちょっと付き合ってくれるか?」
ルベアは一瞬考え、頷いた。
どのみち用意が出来るまでやることは無い。
寝過ごした、と思いつつ階下に降りていくと、誰もいなかった。
どうしたものか、と思っていると奥の部屋で物音が聞こえたのでそちらに行ってみる。
物音がしているのは階段奥の部屋だった。
この部屋に入ったことは無い。
こつこつ、と躊躇いがちに扉を叩く。
中から一際大きな音がした。
「ちょ……ッ! 待って開けんな!」
中から慌てたようなアィルの声が響いた。
ルベアは驚いて、扉を叩いていた手をそのままに硬直する。
ややあって、扉が内側に開かれた。
顔を覗かせたアィルは、扉の前に立っていたルベアを見て驚いたようだった。
「すまん、邪魔をしたか」
アィルの背後に見える部屋の中は暗い。
窓はあるようだが、完全に閉ざされていた。
ちらりとアィルは背後に視線を送り、苦笑して答えた。
「いや、光を与えずに置いておかないといけない薬だから慌てただけだよ。それより……っと、もうそんな時間か?」
光の差し込む廊下を見て、アィルが問う。
「朝でないことは確かだ」
「ヴィオルウスは?」
「下にはいなかった」
そう答えたところで、階段を下りる足音が聞こえた。
音からすると話の人物だろう。
予想違わず、ヴィオルウスがこちらへやってくるのが見えた。
「おう。どうした?」
アィルが片手を上げて聞くと、ヴィオルウスはちらりとルベアに視線を送ってから答えた。
「紫電の実、ある?」
「何に使うんだ?」
「媒体にしようかと思って」
「分かった」
アィルは頷くと身を翻した。
暗い室内へと消えていく。
室内は扉から入る光でかろうじて物の判別ができるくらいだ。
だがアィルは迷うことなく棚の一つに近づき、小さな箱を手にして戻った。
「ひとつで良いのか?」
「うん」
ヴィオルウスはアィルから紫色の小さな実を受け取ると、また階段を上がっていった。
「薬の方はもう少しかかりそうなんだけど……ヴィオルウスが用意し終わるまでには終わると思う」
疑問に思って、ルベアが首を傾げる。
「用意?」
「あぁ、移動の用意だよ。今媒体持ってったろ。だからまだかかりそうだな」
そう言って、アィルは伸びをした。
そのまま部屋を出ると、扉に鍵をかける。
疑問に思って見ていると、その視線に気づいたのかアィルは笑って言った。
「閉めとかないと、劇薬もあるし、作りかけの薬を台無しにされたら大変だからな」
歩き出す彼につられて、ルベアも歩き出した。
「あんたが必要としてる薬は、暫くそのままにしておかないと駄目なんだ。だから今はやることないんだよ」
「そうなのか」
相槌を打つと、アィルがくるりと振り返った。
「飯の後で良いんだけど、ちょっと付き合ってくれるか?」
ルベアは一瞬考え、頷いた。
どのみち用意が出来るまでやることは無い。
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