小説用倉庫。
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「来い」
出てきたディリクは短く一言告げると、左の部屋へ消えた。
呆れたような表情をしながら、アィルがディリクの後を追う。
それに習って、皆移動した。
明かりは必要ないかと思いつつ、持っていく。
部屋の中に入ると、一瞬光が走った。
強い光に目が眩むが、それは直ぐに消え、室内はやはり薄暗い状態にあった。
部屋の中央にはレインがいた。
ぼんやりと上体を起こしている。
その向うにディリクが立っていた。
「……レイン?」
オルカーンが不安そうに問う。
声にぴくりと反応して、レインがのろのろとこちらを振り返った。
何処か夢見がちな表情だ。
焦点が定まっていない。
「起こせ」
ディリクが一言、囁いた。
起きていない、ということなのだろうか。
「レイン」
呼びかけ、肩に手をかけようと手を伸ばす。
途端、ばちりと火花が散って手が弾かれた。
驚いてレインを見、次いでディリクへと視線を投げる。
彼は一つ頷くと、懐から何かを取り出し、レインの上に振りかけた。
一見砂のようだったが、僅かな明かりに反射してきらきらと光っている。
それは真っ直ぐには落ちず、レインの周囲を漂うかのように舞い、弾けた。
レインがゆっくりと瞬く。
「レイン」
もう一度呼びかける。
口が開く。
言葉を出そうとして、戸惑っているかのようにまた閉ざされた。
思わずディリクを振り仰ぐと、彼は小声で何かを唱えていた。
苦痛を感じたかのようにレインが顔をゆがめる。
オルカーンがそろりと近寄り、レインの手を舐めた。
労わるように。
レインが手元に視線を落とす。
「……オルカーン?」
まだ覚醒しきらないかのようなぼんやりとした声だったが、レインはちゃんとこちらが分かるようだった。
ふ、とディリクが軽く息を吐く。
レインは視線を上げるとルベアを見て、首を傾げた。
「ルベア? ……何処此処」
答えようと口を開いた時、レインは目を閉じて後ろに倒れた。
床に触れる寸前で、ディリクが支える。
半ば呆然としながら、ディリクに視線を向けた。
「解毒できたんじゃないのか」
ディリクはレインの首筋の脈を取ってから、ルベアへと顔を向けた。
「呼びかけには応えられた。解毒は成功している」
「じゃあ何で倒れたの」
オルカーンが僅かに苛立った声で言う。
尻尾が不安定にぱさりと揺れた。
「疲労だ。体力が回復していない」
ディリクの返答はにべも無い。
出てきたディリクは短く一言告げると、左の部屋へ消えた。
呆れたような表情をしながら、アィルがディリクの後を追う。
それに習って、皆移動した。
明かりは必要ないかと思いつつ、持っていく。
部屋の中に入ると、一瞬光が走った。
強い光に目が眩むが、それは直ぐに消え、室内はやはり薄暗い状態にあった。
部屋の中央にはレインがいた。
ぼんやりと上体を起こしている。
その向うにディリクが立っていた。
「……レイン?」
オルカーンが不安そうに問う。
声にぴくりと反応して、レインがのろのろとこちらを振り返った。
何処か夢見がちな表情だ。
焦点が定まっていない。
「起こせ」
ディリクが一言、囁いた。
起きていない、ということなのだろうか。
「レイン」
呼びかけ、肩に手をかけようと手を伸ばす。
途端、ばちりと火花が散って手が弾かれた。
驚いてレインを見、次いでディリクへと視線を投げる。
彼は一つ頷くと、懐から何かを取り出し、レインの上に振りかけた。
一見砂のようだったが、僅かな明かりに反射してきらきらと光っている。
それは真っ直ぐには落ちず、レインの周囲を漂うかのように舞い、弾けた。
レインがゆっくりと瞬く。
「レイン」
もう一度呼びかける。
口が開く。
言葉を出そうとして、戸惑っているかのようにまた閉ざされた。
思わずディリクを振り仰ぐと、彼は小声で何かを唱えていた。
苦痛を感じたかのようにレインが顔をゆがめる。
オルカーンがそろりと近寄り、レインの手を舐めた。
労わるように。
レインが手元に視線を落とす。
「……オルカーン?」
まだ覚醒しきらないかのようなぼんやりとした声だったが、レインはちゃんとこちらが分かるようだった。
ふ、とディリクが軽く息を吐く。
レインは視線を上げるとルベアを見て、首を傾げた。
「ルベア? ……何処此処」
答えようと口を開いた時、レインは目を閉じて後ろに倒れた。
床に触れる寸前で、ディリクが支える。
半ば呆然としながら、ディリクに視線を向けた。
「解毒できたんじゃないのか」
ディリクはレインの首筋の脈を取ってから、ルベアへと顔を向けた。
「呼びかけには応えられた。解毒は成功している」
「じゃあ何で倒れたの」
オルカーンが僅かに苛立った声で言う。
尻尾が不安定にぱさりと揺れた。
「疲労だ。体力が回復していない」
ディリクの返答はにべも無い。
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