小説用倉庫。
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「最近やってなかったから」
そう言って、アィルは苦笑しながら剣を構えた。
付き合うとはこれのことか、とルベアも剣を構えた。
場所は家の裏。
少し開けた場所だ。
「あんた強いから、ちゃんと手合わせしてみたかったんだ」
一旦眼を伏せ、開いた時、アィルの表情は真剣なものに変わっていた。
空気が張り詰めたものになる。
心地よい緊張感を感じながら、ルベアは切っ先をアィルへと固定した。
息を吸い、吐く。
短く息を吐いて、アィルが走り出す。
ルベアはむしろ悠然とそれを迎えた。
突き出される刃を受け流す。
甲高い音が、裏庭に響き渡る。
「闇雲に切り掛かったところで当たりはしないぞ」
ルベアが静かに告げると、アィルが剣の軌道を変えた。
突きが横薙ぎの一撃に変化する。
だが軽く上げた刃で、アィルの剣は阻まれた。
刃を滑らせるように回転させ、剣を絡めとる。
「あ……!」
そのままアィルの手から弾き飛ばすと、驚きの声を上げ、剣の落ちた先へと視線を送った。
その喉元に、ルベアが切っ先を突きつけた。
アィルの動きが完全に止まる。
「立会いの最中に余所見をするな。死にたいのか」
低い声で囁く。
アィルの肩が小さく震える。
眼に微かに恐怖の色が宿ったのを見て、ルベアは剣を引いた。
途端、アィルが深く息を吐き出す。
「終わりか?」
静かに問うと、アィルは表情を引き締めて短く叫んだ。
「もう一回!」
「……良いだろう」
にやりと笑ってルベアが頷く。
落ちた剣を拾い、アィルが元の位置に戻る。
仕切りなおしだ。
今度はルベアから打ち込んだ。
何合か細かく打ち込む。
それらを受けながら、アィルが一歩下がった。
その瞬間、ルベアは大きく打ち込む。
予想したのか誘ったのか、振り下ろされた刃を自らの剣で打ち払い、刃に沿わすように跳ね上げる。
ルベアは迫る刃を落ち着いた表情で眺め、回転しながら避ける。
その動きに合わせて剣を抜き、アィルへと振り下ろす。
「……!」
動きの予想はしていなかったのか、アィルが大げさにのけぞった。
更に胴への斬撃を放つと、それをかろうじて受けたアィルが体勢を崩す。
畳み掛けるように斬りかかる。
五合まで受けたところで、アィルがバランスを崩して倒れた。
「……ッ……!」
アィルが肩で息をしながらルベアを見上げる。
ルベアは息を乱してすらいない。
暫く見詰め合った後、アィルが項垂れて息を吐いた。
「……はぁ、強いなぁ」
「俺だって最初から強かったわけじゃない」
片眉をあげて剣を鞘へと戻し、アィルに手を差し伸べる。
それに縋りながら立ち上がり、アィルも鞘に収めた。
「強くならなきゃいけない、理由があったからな」
暗い目で呟いたルベアに、アィルがぎくりと身を竦ませる。
「あの……」
そう言って、アィルは苦笑しながら剣を構えた。
付き合うとはこれのことか、とルベアも剣を構えた。
場所は家の裏。
少し開けた場所だ。
「あんた強いから、ちゃんと手合わせしてみたかったんだ」
一旦眼を伏せ、開いた時、アィルの表情は真剣なものに変わっていた。
空気が張り詰めたものになる。
心地よい緊張感を感じながら、ルベアは切っ先をアィルへと固定した。
息を吸い、吐く。
短く息を吐いて、アィルが走り出す。
ルベアはむしろ悠然とそれを迎えた。
突き出される刃を受け流す。
甲高い音が、裏庭に響き渡る。
「闇雲に切り掛かったところで当たりはしないぞ」
ルベアが静かに告げると、アィルが剣の軌道を変えた。
突きが横薙ぎの一撃に変化する。
だが軽く上げた刃で、アィルの剣は阻まれた。
刃を滑らせるように回転させ、剣を絡めとる。
「あ……!」
そのままアィルの手から弾き飛ばすと、驚きの声を上げ、剣の落ちた先へと視線を送った。
その喉元に、ルベアが切っ先を突きつけた。
アィルの動きが完全に止まる。
「立会いの最中に余所見をするな。死にたいのか」
低い声で囁く。
アィルの肩が小さく震える。
眼に微かに恐怖の色が宿ったのを見て、ルベアは剣を引いた。
途端、アィルが深く息を吐き出す。
「終わりか?」
静かに問うと、アィルは表情を引き締めて短く叫んだ。
「もう一回!」
「……良いだろう」
にやりと笑ってルベアが頷く。
落ちた剣を拾い、アィルが元の位置に戻る。
仕切りなおしだ。
今度はルベアから打ち込んだ。
何合か細かく打ち込む。
それらを受けながら、アィルが一歩下がった。
その瞬間、ルベアは大きく打ち込む。
予想したのか誘ったのか、振り下ろされた刃を自らの剣で打ち払い、刃に沿わすように跳ね上げる。
ルベアは迫る刃を落ち着いた表情で眺め、回転しながら避ける。
その動きに合わせて剣を抜き、アィルへと振り下ろす。
「……!」
動きの予想はしていなかったのか、アィルが大げさにのけぞった。
更に胴への斬撃を放つと、それをかろうじて受けたアィルが体勢を崩す。
畳み掛けるように斬りかかる。
五合まで受けたところで、アィルがバランスを崩して倒れた。
「……ッ……!」
アィルが肩で息をしながらルベアを見上げる。
ルベアは息を乱してすらいない。
暫く見詰め合った後、アィルが項垂れて息を吐いた。
「……はぁ、強いなぁ」
「俺だって最初から強かったわけじゃない」
片眉をあげて剣を鞘へと戻し、アィルに手を差し伸べる。
それに縋りながら立ち上がり、アィルも鞘に収めた。
「強くならなきゃいけない、理由があったからな」
暗い目で呟いたルベアに、アィルがぎくりと身を竦ませる。
「あの……」
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