小説用倉庫。
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「あー、あのさ」
沈黙に耐え切れずに、オルカーンが声を上げた。
ルベアとヴィオルウスが顔を上げ、こちらを見てくる。
「……えぇと、レインって知ってる?」
特に何の言葉も用意していなかったオルカーンは、ついそう聞いていた。
見た目で言うなら血縁者なんだけど、と思いながら。
「……知ってる。彼は私の弟だから」
ヴィオルウスはあっさりとオルカーンの思いを肯定した。
「彼が何処にいるのか、知ってるの?」
紫の眼で静かに見つめられ、オルカーンはまごつきながらエールにいる、と答えた。
「エールに? そんな、ところに……」
半ば呆然と、呟く。
「……お前……」
ルベアが口を開く。
その声に、ヴィオルウスとオルカーンがそちらを向く。
眉を顰めながら、彼は囁いた。
「お前が、レインの記憶を消したのか?」
思い出されるのはシェンディルの言葉。
似た魔力。
だが、ヴィオルウスは緩くかぶりを振ると、違う、と言った。
「私じゃない。記憶が無いのは、知らなかった。……だから戻ってこなかったのか」
最後の言葉は誰に言うとも無く、ただ流れた。
「何があったんだ?」
ヴィオルウスは答えようと口を開きかけ、間を置いて直ぐに閉じた。
「……本人に言う。彼が良いと言うなら、彼に聞けば良い」
不意にヴィオルウスは顔を上げると、そのまま立ち上がった。
「そろそろ帰らないと」
そう言って荷物を手に取り、促すようにルベア達を見て首を傾げる。
確かにずっとこのまま座っていても仕方が無い。
ルベアは立ち上がり、思い出したように聞いた。
「そういえば、魔界へ渡るにはお前に頼めば良いと聞いた。移動の手段があるのか」
「扉が作れる。私は魔族だから」
あっさりと答え、踵を返す。
「……ってことは、レインも?」
後を追いながら、オルカーンが混乱したような声を出した。
ヴィオルウスは肩越しに振り返ると、少し首を傾げる。
「半分だけだけど」
あまり言いたくない話なのか、ヴィオルウスは視線を前に戻すと歩き出した。
後を追おうとして、オルカーンは足を止める。
「ねぇ、家ってそっちじゃないよ」
ヴィオルウスはきょとんとして振り返ると、オルカーンに首を傾げてみせた。
「そうなの?」
「こっちだよ」
オルカーンが呆れたように言って歩き出す。
ヴィオルウスが行こうとしていた方向より、右寄りだ。
早くも翳り始めた森の中を、三人は黙って歩きつづけた。
沈黙に耐え切れずに、オルカーンが声を上げた。
ルベアとヴィオルウスが顔を上げ、こちらを見てくる。
「……えぇと、レインって知ってる?」
特に何の言葉も用意していなかったオルカーンは、ついそう聞いていた。
見た目で言うなら血縁者なんだけど、と思いながら。
「……知ってる。彼は私の弟だから」
ヴィオルウスはあっさりとオルカーンの思いを肯定した。
「彼が何処にいるのか、知ってるの?」
紫の眼で静かに見つめられ、オルカーンはまごつきながらエールにいる、と答えた。
「エールに? そんな、ところに……」
半ば呆然と、呟く。
「……お前……」
ルベアが口を開く。
その声に、ヴィオルウスとオルカーンがそちらを向く。
眉を顰めながら、彼は囁いた。
「お前が、レインの記憶を消したのか?」
思い出されるのはシェンディルの言葉。
似た魔力。
だが、ヴィオルウスは緩くかぶりを振ると、違う、と言った。
「私じゃない。記憶が無いのは、知らなかった。……だから戻ってこなかったのか」
最後の言葉は誰に言うとも無く、ただ流れた。
「何があったんだ?」
ヴィオルウスは答えようと口を開きかけ、間を置いて直ぐに閉じた。
「……本人に言う。彼が良いと言うなら、彼に聞けば良い」
不意にヴィオルウスは顔を上げると、そのまま立ち上がった。
「そろそろ帰らないと」
そう言って荷物を手に取り、促すようにルベア達を見て首を傾げる。
確かにずっとこのまま座っていても仕方が無い。
ルベアは立ち上がり、思い出したように聞いた。
「そういえば、魔界へ渡るにはお前に頼めば良いと聞いた。移動の手段があるのか」
「扉が作れる。私は魔族だから」
あっさりと答え、踵を返す。
「……ってことは、レインも?」
後を追いながら、オルカーンが混乱したような声を出した。
ヴィオルウスは肩越しに振り返ると、少し首を傾げる。
「半分だけだけど」
あまり言いたくない話なのか、ヴィオルウスは視線を前に戻すと歩き出した。
後を追おうとして、オルカーンは足を止める。
「ねぇ、家ってそっちじゃないよ」
ヴィオルウスはきょとんとして振り返ると、オルカーンに首を傾げてみせた。
「そうなの?」
「こっちだよ」
オルカーンが呆れたように言って歩き出す。
ヴィオルウスが行こうとしていた方向より、右寄りだ。
早くも翳り始めた森の中を、三人は黙って歩きつづけた。
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