小説用倉庫。
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家に戻る頃には周囲は薄暗くなってきていた。
村の中は相変わらず人の気配が少ない。
通りを歩いている人影は一つも見当たらなかった。
家の中に入ると、暖かい良い匂いが漂ってきた。
扉を開けた音を聞き取ったのだろう、アィルが食堂から顔を覗かせる。
「お、ちゃんと迷わず帰って来れたな」
笑いを含んだ声に、ヴィオルウスが眉尻を下げる。
「やっぱり方向音痴だったんだ……」
オルカーンがぼそりと呟く。
「あはは。中に入んな。疲れたろ?」
笑って、アィルが中に引っ込む。
各々、荷物を置いてから、食堂へと入った。
「もう少しで出来るから、ちょっと待っててな」
振り返らずにアィルが言う。
家事の殆どを彼がやっているのだろうか。
「手伝おう」
ルベアが近くへ行くと、アィルは振り返って、ありがたい、と言った。
「じゃあ私も……」
「あぁ、ヴィオルウスは良いよ。お前昨日から森に行ってたろ。しっかり休んどけ」
「そう……?」
ヴィオルウスが首を傾げながらオルカーンの所へ行くのを見て、アィルが耳打ちした。
「あいつ料理下手なんだ。任せるとえらい事になるんだよ」
辟易した様子に、つい口元が緩む。
ふと、アィルの顔色が悪くなっていることに気づく。
「……お前は、大丈夫なのか?」
「ん? あー、もう一日徹夜はつらいけど、あとは時間のかかるものばかりだから平気。明日になれば薬も全部出来るよ」
自信に満ちた笑顔で、調理を続ける。
彼を手伝いながら、ルベアはレインが此処にいたら何て言うだろうと考えていた。
皆で食卓を囲んでいるとき、ヴィオルウスがぽつりと言った。
「レインのところに戻るんだよね?」
ルベアは口の中のものを飲み込んでから頷いた。
「薬が出来次第な」
「あぁ、薬なら明日の昼には出来るぞ」
「ついて行っても良いかな?」
静かに首を傾げて言われたことに、ヴィオルウスを除く全員が彼を見た。
理由を問おうとルベアが口を開くより早く、オルカーンが答えた。
「良いんじゃない?」
抗議の視線をオルカーン向けると、彼はのんびりと食事をしながらルベアを見返した。
暫く沈黙が流れる。
ヴィオルウスもアィルも、ルベアの返事を待っているようだ。
ルベアは暫くの逡巡の後、頷いた。
何故、オルカーンが良いと言ったのかは分かっていた。
ヴィオルウスをレインへと引き合わせるためだ。
レインを此処へ連れてくるか、迷っていたところだった。
「お前確か移動の魔法使えたよな」
不意にアィルが言った。
ヴィオルウスが考え込むような表情になる。
「出来るけど……時間かかるよ」
「1日2日かかるわけじゃねぇだろ」
「まぁそうだけど……」
「それで行けば早いだろ。あぁ俺も行くから」
さらりと言って、アィルは食事に戻る。
ヴィオルウスは驚いたようにアィルを見つめた。
「つまり全員行くってことだな」
溜め息混じりにルベアが呟き、それが合図だったかのようにその話題は終了した。
村の中は相変わらず人の気配が少ない。
通りを歩いている人影は一つも見当たらなかった。
家の中に入ると、暖かい良い匂いが漂ってきた。
扉を開けた音を聞き取ったのだろう、アィルが食堂から顔を覗かせる。
「お、ちゃんと迷わず帰って来れたな」
笑いを含んだ声に、ヴィオルウスが眉尻を下げる。
「やっぱり方向音痴だったんだ……」
オルカーンがぼそりと呟く。
「あはは。中に入んな。疲れたろ?」
笑って、アィルが中に引っ込む。
各々、荷物を置いてから、食堂へと入った。
「もう少しで出来るから、ちょっと待っててな」
振り返らずにアィルが言う。
家事の殆どを彼がやっているのだろうか。
「手伝おう」
ルベアが近くへ行くと、アィルは振り返って、ありがたい、と言った。
「じゃあ私も……」
「あぁ、ヴィオルウスは良いよ。お前昨日から森に行ってたろ。しっかり休んどけ」
「そう……?」
ヴィオルウスが首を傾げながらオルカーンの所へ行くのを見て、アィルが耳打ちした。
「あいつ料理下手なんだ。任せるとえらい事になるんだよ」
辟易した様子に、つい口元が緩む。
ふと、アィルの顔色が悪くなっていることに気づく。
「……お前は、大丈夫なのか?」
「ん? あー、もう一日徹夜はつらいけど、あとは時間のかかるものばかりだから平気。明日になれば薬も全部出来るよ」
自信に満ちた笑顔で、調理を続ける。
彼を手伝いながら、ルベアはレインが此処にいたら何て言うだろうと考えていた。
皆で食卓を囲んでいるとき、ヴィオルウスがぽつりと言った。
「レインのところに戻るんだよね?」
ルベアは口の中のものを飲み込んでから頷いた。
「薬が出来次第な」
「あぁ、薬なら明日の昼には出来るぞ」
「ついて行っても良いかな?」
静かに首を傾げて言われたことに、ヴィオルウスを除く全員が彼を見た。
理由を問おうとルベアが口を開くより早く、オルカーンが答えた。
「良いんじゃない?」
抗議の視線をオルカーン向けると、彼はのんびりと食事をしながらルベアを見返した。
暫く沈黙が流れる。
ヴィオルウスもアィルも、ルベアの返事を待っているようだ。
ルベアは暫くの逡巡の後、頷いた。
何故、オルカーンが良いと言ったのかは分かっていた。
ヴィオルウスをレインへと引き合わせるためだ。
レインを此処へ連れてくるか、迷っていたところだった。
「お前確か移動の魔法使えたよな」
不意にアィルが言った。
ヴィオルウスが考え込むような表情になる。
「出来るけど……時間かかるよ」
「1日2日かかるわけじゃねぇだろ」
「まぁそうだけど……」
「それで行けば早いだろ。あぁ俺も行くから」
さらりと言って、アィルは食事に戻る。
ヴィオルウスは驚いたようにアィルを見つめた。
「つまり全員行くってことだな」
溜め息混じりにルベアが呟き、それが合図だったかのようにその話題は終了した。
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