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2024/11/25 (Mon)
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2012/04/02 (Mon)
「丁度広いんだしまたやらねぇ?」
 アィルが目を輝かせてルベアに言った。
 返事をするにはためらいがあった。
 身体の不調は治っていない。
 むしろ少しずつ、酷くなってきている気がしていた。
 ふとオルカーンへと視線を滑らせ、にやりと笑う。
「オルカーンと戦って、勝てたら相手してやろう」
 アィルが驚いたようにオルカーンへ視線を向けると、オルカーンも硬直して視線を返した。
「何で俺!」
「暇だろ?」
 言って、椅子の一つに腰を下ろす。
「うー……そうだけど……慣れないと加減が難しいんだよ」
 加減、という言葉にむっとしたのか、アィルが憤然と声を上げた。
「良いぜ! オルカーン、加減なんていらねぇよ!」
 呆れた溜め息を吐いてヴィオルウスが椅子に座る。
 アィルの性格はよくわかっているようだ。
「結構速いぞ。負けるなよ」
 仕方なさそうに、広い場所へ移動するオルカーンの背に声をかける。
「そうなの?」
 意外、という顔でオルカーンが振り返った。
 薄く笑んだままルベアは頷き、追い払うように手を振った。
 アィルは既に臨戦態勢だ。

 オルカーンが向かい側に立つと、アィルは切っ先をオルカーンへと向けた。
「本当にやるの?」
「あぁ」
 静かに答えるアィルからは、闘志が伺えた。
 覚悟を決めたのか、オルカーンは溜め息を吐くと姿勢を低くした。
 殺気が膨れ上がる。
 視線に力を込めて、両者がにらみ合う。

 オルカーンが低く喉を鳴らした。
 牙を剥き出し、相手を睨みつけているところを見るとやはり魔獣なんだなと思う。
 普段はどこかのんびりしているくせに、戦闘となると容赦が無い。
 加減が難しいと言っていた、あの言葉に嘘は無いだろう。
 いつでも飛び出せるように準備しながら、ルベアは二人を見守った。

 中庭に、雰囲気にそぐわない殺気が満ちた。
 先に動いたのは、アィルだった。
 短く呼気を吐いてオルカーンへと剣を振るう。
 それを待っていたかのように、オルカーンがアィルの懐へ飛び込んだ。
「……!」
 爪の一撃を、アィルが身を捻ってかわす。
 先程と立ち位置は逆になっていた。
 双方がじり、と距離を狭める。
 オルカーンが飛び出す。
 牙を剥いて飛び掛ってくるオルカーンへアィルが剣を立てて防ぐ。
 だが重さを考慮していなかったらしい。
 飛び掛られた衝撃のまま、アィルは短い悲鳴を上げて地面へと引き倒された。
 爪がアィルの肩へと食い込み、顔が苦痛にゆがめられる。
 オルカーンは頓着せずに牙を剥いた。

 瞬間、ルベアが飛び出す。
 喉笛に噛み付こうとしていた牙の、間へと刃を滑らせた。
 重い音がして、ルベアの剣にオルカーンの牙がぶつかる。
「其処までだ」
 低く声をかける。
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