小説用倉庫。
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「丁度広いんだしまたやらねぇ?」
アィルが目を輝かせてルベアに言った。
返事をするにはためらいがあった。
身体の不調は治っていない。
むしろ少しずつ、酷くなってきている気がしていた。
ふとオルカーンへと視線を滑らせ、にやりと笑う。
「オルカーンと戦って、勝てたら相手してやろう」
アィルが驚いたようにオルカーンへ視線を向けると、オルカーンも硬直して視線を返した。
「何で俺!」
「暇だろ?」
言って、椅子の一つに腰を下ろす。
「うー……そうだけど……慣れないと加減が難しいんだよ」
加減、という言葉にむっとしたのか、アィルが憤然と声を上げた。
「良いぜ! オルカーン、加減なんていらねぇよ!」
呆れた溜め息を吐いてヴィオルウスが椅子に座る。
アィルの性格はよくわかっているようだ。
「結構速いぞ。負けるなよ」
仕方なさそうに、広い場所へ移動するオルカーンの背に声をかける。
「そうなの?」
意外、という顔でオルカーンが振り返った。
薄く笑んだままルベアは頷き、追い払うように手を振った。
アィルは既に臨戦態勢だ。
オルカーンが向かい側に立つと、アィルは切っ先をオルカーンへと向けた。
「本当にやるの?」
「あぁ」
静かに答えるアィルからは、闘志が伺えた。
覚悟を決めたのか、オルカーンは溜め息を吐くと姿勢を低くした。
殺気が膨れ上がる。
視線に力を込めて、両者がにらみ合う。
オルカーンが低く喉を鳴らした。
牙を剥き出し、相手を睨みつけているところを見るとやはり魔獣なんだなと思う。
普段はどこかのんびりしているくせに、戦闘となると容赦が無い。
加減が難しいと言っていた、あの言葉に嘘は無いだろう。
いつでも飛び出せるように準備しながら、ルベアは二人を見守った。
中庭に、雰囲気にそぐわない殺気が満ちた。
先に動いたのは、アィルだった。
短く呼気を吐いてオルカーンへと剣を振るう。
それを待っていたかのように、オルカーンがアィルの懐へ飛び込んだ。
「……!」
爪の一撃を、アィルが身を捻ってかわす。
先程と立ち位置は逆になっていた。
双方がじり、と距離を狭める。
オルカーンが飛び出す。
牙を剥いて飛び掛ってくるオルカーンへアィルが剣を立てて防ぐ。
だが重さを考慮していなかったらしい。
飛び掛られた衝撃のまま、アィルは短い悲鳴を上げて地面へと引き倒された。
爪がアィルの肩へと食い込み、顔が苦痛にゆがめられる。
オルカーンは頓着せずに牙を剥いた。
瞬間、ルベアが飛び出す。
喉笛に噛み付こうとしていた牙の、間へと刃を滑らせた。
重い音がして、ルベアの剣にオルカーンの牙がぶつかる。
「其処までだ」
低く声をかける。
アィルが目を輝かせてルベアに言った。
返事をするにはためらいがあった。
身体の不調は治っていない。
むしろ少しずつ、酷くなってきている気がしていた。
ふとオルカーンへと視線を滑らせ、にやりと笑う。
「オルカーンと戦って、勝てたら相手してやろう」
アィルが驚いたようにオルカーンへ視線を向けると、オルカーンも硬直して視線を返した。
「何で俺!」
「暇だろ?」
言って、椅子の一つに腰を下ろす。
「うー……そうだけど……慣れないと加減が難しいんだよ」
加減、という言葉にむっとしたのか、アィルが憤然と声を上げた。
「良いぜ! オルカーン、加減なんていらねぇよ!」
呆れた溜め息を吐いてヴィオルウスが椅子に座る。
アィルの性格はよくわかっているようだ。
「結構速いぞ。負けるなよ」
仕方なさそうに、広い場所へ移動するオルカーンの背に声をかける。
「そうなの?」
意外、という顔でオルカーンが振り返った。
薄く笑んだままルベアは頷き、追い払うように手を振った。
アィルは既に臨戦態勢だ。
オルカーンが向かい側に立つと、アィルは切っ先をオルカーンへと向けた。
「本当にやるの?」
「あぁ」
静かに答えるアィルからは、闘志が伺えた。
覚悟を決めたのか、オルカーンは溜め息を吐くと姿勢を低くした。
殺気が膨れ上がる。
視線に力を込めて、両者がにらみ合う。
オルカーンが低く喉を鳴らした。
牙を剥き出し、相手を睨みつけているところを見るとやはり魔獣なんだなと思う。
普段はどこかのんびりしているくせに、戦闘となると容赦が無い。
加減が難しいと言っていた、あの言葉に嘘は無いだろう。
いつでも飛び出せるように準備しながら、ルベアは二人を見守った。
中庭に、雰囲気にそぐわない殺気が満ちた。
先に動いたのは、アィルだった。
短く呼気を吐いてオルカーンへと剣を振るう。
それを待っていたかのように、オルカーンがアィルの懐へ飛び込んだ。
「……!」
爪の一撃を、アィルが身を捻ってかわす。
先程と立ち位置は逆になっていた。
双方がじり、と距離を狭める。
オルカーンが飛び出す。
牙を剥いて飛び掛ってくるオルカーンへアィルが剣を立てて防ぐ。
だが重さを考慮していなかったらしい。
飛び掛られた衝撃のまま、アィルは短い悲鳴を上げて地面へと引き倒された。
爪がアィルの肩へと食い込み、顔が苦痛にゆがめられる。
オルカーンは頓着せずに牙を剥いた。
瞬間、ルベアが飛び出す。
喉笛に噛み付こうとしていた牙の、間へと刃を滑らせた。
重い音がして、ルベアの剣にオルカーンの牙がぶつかる。
「其処までだ」
低く声をかける。
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