小説用倉庫。
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「ルベア」
眠っていたらしい。
オルカーンの呼び声で目が覚めた。
「……どうした」
「気をつけて。囲まれるよ」
低く抑えた囁き。
ルベアは完全に目を覚ますと、剣の柄に手を添えて周りを見回した。
レインの姿が無い。
「レインは?」
何かの気配が近づいてくるのを感じつつ、ルベアが問う。
「……ちょっと散歩、って。追えてるから大丈夫」
オルカーンは視線を上げると嫌そうな顔をした。
「見つかった」
何に、とは聞かない。
周囲の気配は囲うように近づいてきていた。
レインがいなくて良かった、と思う。
彼は戦闘には向かない。
柄にかけた手に力をこめる。
「数は」
「数えられないな。細かいよ」
さわさわと、葉ずれの音がする。
風は吹いていない。
不意に音が止まった。
感じる気配が圧倒的に重くなっていく。
排除しようとする、完全な敵意。
神経が研ぎ澄まされていく。
オルカーンが姿勢を低くして警戒する。
いつでも跳びかかれる体勢だ。
がさり、と前方の繁みが音を立て、黒い塊が向かってきた。
居合の要領でそれに合わせて刃を滑らせる。
と、それは瞬時に後退し、間合いから逃げた。
僅かの明かりに見えたそれは、黒い鼬のような魔獣だった。
大きさは拳二つ分ほど。
確かに細かくはある。
数は多くいたはずだ、と思った時、最初の一匹の後ろから次々と同じ形の魔獣が飛び出してきた。
視線の先が闇色に染まっていく。
がさりと音がして、それは横や後ろからも現れた。
「多いなぁ」
「数だけだ」
ぼやくオルカーンに短く応え、ルベアは剣を構えた。
思ったより速かった。
ただ、殺傷能力は低そうだ。
攻撃を受けても大怪我にはならないだろうが、数だけは厄介だった。
めんどくさいなと思いつつ、一歩、前に足を進める。
それを合図にして魔獣は一斉に飛び掛ってきた。
間合いに入ったものから斬り伏せていく。
斬られたそれは声もなく塵となって消えていった。
その様をのんびり見る暇も無く、片端から斬っていくが、彼らは仲間が斬られても動揺もせず、襲い掛かってくる。
変だ、と思った時、背後にいたはずのオルカーンはかなり離れた位置にいて、そして魔獣の数は減りもしていなかった。
眠っていたらしい。
オルカーンの呼び声で目が覚めた。
「……どうした」
「気をつけて。囲まれるよ」
低く抑えた囁き。
ルベアは完全に目を覚ますと、剣の柄に手を添えて周りを見回した。
レインの姿が無い。
「レインは?」
何かの気配が近づいてくるのを感じつつ、ルベアが問う。
「……ちょっと散歩、って。追えてるから大丈夫」
オルカーンは視線を上げると嫌そうな顔をした。
「見つかった」
何に、とは聞かない。
周囲の気配は囲うように近づいてきていた。
レインがいなくて良かった、と思う。
彼は戦闘には向かない。
柄にかけた手に力をこめる。
「数は」
「数えられないな。細かいよ」
さわさわと、葉ずれの音がする。
風は吹いていない。
不意に音が止まった。
感じる気配が圧倒的に重くなっていく。
排除しようとする、完全な敵意。
神経が研ぎ澄まされていく。
オルカーンが姿勢を低くして警戒する。
いつでも跳びかかれる体勢だ。
がさり、と前方の繁みが音を立て、黒い塊が向かってきた。
居合の要領でそれに合わせて刃を滑らせる。
と、それは瞬時に後退し、間合いから逃げた。
僅かの明かりに見えたそれは、黒い鼬のような魔獣だった。
大きさは拳二つ分ほど。
確かに細かくはある。
数は多くいたはずだ、と思った時、最初の一匹の後ろから次々と同じ形の魔獣が飛び出してきた。
視線の先が闇色に染まっていく。
がさりと音がして、それは横や後ろからも現れた。
「多いなぁ」
「数だけだ」
ぼやくオルカーンに短く応え、ルベアは剣を構えた。
思ったより速かった。
ただ、殺傷能力は低そうだ。
攻撃を受けても大怪我にはならないだろうが、数だけは厄介だった。
めんどくさいなと思いつつ、一歩、前に足を進める。
それを合図にして魔獣は一斉に飛び掛ってきた。
間合いに入ったものから斬り伏せていく。
斬られたそれは声もなく塵となって消えていった。
その様をのんびり見る暇も無く、片端から斬っていくが、彼らは仲間が斬られても動揺もせず、襲い掛かってくる。
変だ、と思った時、背後にいたはずのオルカーンはかなり離れた位置にいて、そして魔獣の数は減りもしていなかった。
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