小説用倉庫。
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「外で食べた方がきっと気持ち良いよ」
レインが笑ってルベアの袖を引っ張る。
落とさないように注意しながら、ルベアは後に続いて日の当たる中庭に入った。
「もう食べたのか」
「ご飯? うん。さっき食べ終わったんだよ」
もう少し待ってれば良かったね、とレインとオルカーンが笑った。
それには応えず、ルベアは盆に載った食事を食べ始めた。
食べながら、次はどうしようねと言っている二人に視線を向ける。
「とりあえずオレの目的ってもう達成しちゃったんだよね」
「あ、そっか、そうだね」
驚いたようにオルカーンが声を漏らした。
それから、ちらりと決まり悪そうにルベアへと視線を移す。
視線の意味に気づいたルベアは、口の中のものを咀嚼してから視線を落とした。
その先に、動かない右腕が映る。
「俺は……」
言いかけて、ヴィオルウスとアィルの顔を思い出す。
暫くの逡巡の後、彼はため息と共に囁くように言った。
「俺も、良い。目的はもう無い」
レインとオルカーンは少しほっとしたように頷いた。
「んー、じゃあ、オルカーンの探してる人見つけに行こう」
良い事を思いついた、とレインが嬉しそうに言うが、対照的にオルカーンが渋い顔で尻尾を振った。
「俺の場合は界渡りが必要だし、レインはともかくルベアは移動できないだろ」
「え、駄目なの?」
驚きに目を丸くするレインに、ため息で答える。
「ルベアは純粋な人間だろう? 無理だよ」
「うわぁ純粋じゃないって言われてる気分」
「違うの?」
「いやわかんないけど」
レインは胸元を押さえて斜めに傾いでいたが、気を取り直すと真っ直ぐ座りなおした。
「でも、会いたいんじゃないの?」
珍しく真剣な表情で言うレインに、オルカーンがうーんと唸る。
「会いたくないって言えば嘘になるけど、無事だって知ったから、良いよ」
尻尾をぱさぱさと振り、オルカーンがその場に寝そべった。
「そういうもんなの?」
「そういうもんだよ」
オルカーンが眠たげに目を閉じる。
「じゃあ、どうしようか?」
話は其処に戻るらしい。
食べ終え、食器を盆に戻す。
ディリクが作ったのだろうか。
質素なスープだったが、味は美味かった。
「ルベアはどうしたい?」
突然話を振られて顔を上げると、いつもと同じように、レインとオルカーンがこちらを見ていた。
「……」
無言で、視線を外す。
日の光は明るく暖かで、酷く平和だった。
何処かから飛んできた鳥が、中庭の隅に生えている木にとまった。
暫くそうして眺めてから視線を戻すと、二人はまだこちらを見ていた。
レインが笑ってルベアの袖を引っ張る。
落とさないように注意しながら、ルベアは後に続いて日の当たる中庭に入った。
「もう食べたのか」
「ご飯? うん。さっき食べ終わったんだよ」
もう少し待ってれば良かったね、とレインとオルカーンが笑った。
それには応えず、ルベアは盆に載った食事を食べ始めた。
食べながら、次はどうしようねと言っている二人に視線を向ける。
「とりあえずオレの目的ってもう達成しちゃったんだよね」
「あ、そっか、そうだね」
驚いたようにオルカーンが声を漏らした。
それから、ちらりと決まり悪そうにルベアへと視線を移す。
視線の意味に気づいたルベアは、口の中のものを咀嚼してから視線を落とした。
その先に、動かない右腕が映る。
「俺は……」
言いかけて、ヴィオルウスとアィルの顔を思い出す。
暫くの逡巡の後、彼はため息と共に囁くように言った。
「俺も、良い。目的はもう無い」
レインとオルカーンは少しほっとしたように頷いた。
「んー、じゃあ、オルカーンの探してる人見つけに行こう」
良い事を思いついた、とレインが嬉しそうに言うが、対照的にオルカーンが渋い顔で尻尾を振った。
「俺の場合は界渡りが必要だし、レインはともかくルベアは移動できないだろ」
「え、駄目なの?」
驚きに目を丸くするレインに、ため息で答える。
「ルベアは純粋な人間だろう? 無理だよ」
「うわぁ純粋じゃないって言われてる気分」
「違うの?」
「いやわかんないけど」
レインは胸元を押さえて斜めに傾いでいたが、気を取り直すと真っ直ぐ座りなおした。
「でも、会いたいんじゃないの?」
珍しく真剣な表情で言うレインに、オルカーンがうーんと唸る。
「会いたくないって言えば嘘になるけど、無事だって知ったから、良いよ」
尻尾をぱさぱさと振り、オルカーンがその場に寝そべった。
「そういうもんなの?」
「そういうもんだよ」
オルカーンが眠たげに目を閉じる。
「じゃあ、どうしようか?」
話は其処に戻るらしい。
食べ終え、食器を盆に戻す。
ディリクが作ったのだろうか。
質素なスープだったが、味は美味かった。
「ルベアはどうしたい?」
突然話を振られて顔を上げると、いつもと同じように、レインとオルカーンがこちらを見ていた。
「……」
無言で、視線を外す。
日の光は明るく暖かで、酷く平和だった。
何処かから飛んできた鳥が、中庭の隅に生えている木にとまった。
暫くそうして眺めてから視線を戻すと、二人はまだこちらを見ていた。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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