小説用倉庫。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
思考は、オルカーンの唸り声で途切れた。
はっとして振り返る。
凝ったような闇が、其処に在った。
――……何?
半ば混乱した頭で呟く。
ずるり、とその闇は黒色の獣を吐き出した。
開かれた獣の目を見て、レインは意識が途切れそうになった。
周囲を睨みつけるかのような、赤い目。
その獣からは容赦なく憤怒の感情が向けられている。
けれど、何故だろう。
どうして、これがルベアに似てるなんて思ってしまうんだろう!
『レインッ! 呑まれるな!』
オルカーンの鋭い声が飛ぶ。
レインははっとして、どきどきする心臓を押さえた。
そうだ、違う。
これは彼ではない!
確信と共に自分に言い聞かせた途端、獣の姿は薄れ、拡散するように闇へと溶けた。
「何だよォ。俺の、邪魔をすんのかァ?」
どこか、間延びした声が響く。
ぎくりとして目を凝らすと、獣が消えた辺りにぼんやりと何かが形作られようとしていた。
『レイン、あんなのに構うな。早く行こう』
静かに言われたことに、レインが驚いてオルカーンへ視線を向ける。
オルカーンは呆れたような視線を向けて言った。
『何しに此処へ来たか忘れたの? この中じゃこっちが不利なんだよ』
――そ、そうだね……。
レインは慌てて頷くと、ルベアの身体を引っ張った。
力を失った身体はぐったりとして、重い。
ふと、視界の隅できらりと何かが光った。
――?
不思議に思って、目を凝らす。
それは何かの糸のようだった。
見落としそうなほどに細い糸が、微かに光を放ちながら其処にあった。
良く見れば、それはルベアの身体から目の前の闇へと繋がっているようだった。
『レイン! 何やって……』
オルカーンが腹立たしげに振り返る。
瞬間、何かに突き動かされるようにその糸を引っ張っていた。
するすると殆ど抵抗を感じずに手繰り寄せられる。
これが何を意味しているのか分かっていなかった。
けれど、ほんの微かに抵抗を感じた時、闇が動揺するように揺れた。
「何してるんだよ……。お前ェ!」
苛立たしげな声に、思わず肩がぴくりと揺れた。
けれど糸は離さない。
引き寄せた糸は撓むことなく、吸い込まれるようにルベアの中に消えていく。
闇はそれ以上近づいてこない。
否。
近づけないのだ。
守るように、遮るようにオルカーンが間に立っている。
その身体からは、他を圧倒するほどの覇気が溢れていた。
はっとして振り返る。
凝ったような闇が、其処に在った。
――……何?
半ば混乱した頭で呟く。
ずるり、とその闇は黒色の獣を吐き出した。
開かれた獣の目を見て、レインは意識が途切れそうになった。
周囲を睨みつけるかのような、赤い目。
その獣からは容赦なく憤怒の感情が向けられている。
けれど、何故だろう。
どうして、これがルベアに似てるなんて思ってしまうんだろう!
『レインッ! 呑まれるな!』
オルカーンの鋭い声が飛ぶ。
レインははっとして、どきどきする心臓を押さえた。
そうだ、違う。
これは彼ではない!
確信と共に自分に言い聞かせた途端、獣の姿は薄れ、拡散するように闇へと溶けた。
「何だよォ。俺の、邪魔をすんのかァ?」
どこか、間延びした声が響く。
ぎくりとして目を凝らすと、獣が消えた辺りにぼんやりと何かが形作られようとしていた。
『レイン、あんなのに構うな。早く行こう』
静かに言われたことに、レインが驚いてオルカーンへ視線を向ける。
オルカーンは呆れたような視線を向けて言った。
『何しに此処へ来たか忘れたの? この中じゃこっちが不利なんだよ』
――そ、そうだね……。
レインは慌てて頷くと、ルベアの身体を引っ張った。
力を失った身体はぐったりとして、重い。
ふと、視界の隅できらりと何かが光った。
――?
不思議に思って、目を凝らす。
それは何かの糸のようだった。
見落としそうなほどに細い糸が、微かに光を放ちながら其処にあった。
良く見れば、それはルベアの身体から目の前の闇へと繋がっているようだった。
『レイン! 何やって……』
オルカーンが腹立たしげに振り返る。
瞬間、何かに突き動かされるようにその糸を引っ張っていた。
するすると殆ど抵抗を感じずに手繰り寄せられる。
これが何を意味しているのか分かっていなかった。
けれど、ほんの微かに抵抗を感じた時、闇が動揺するように揺れた。
「何してるんだよ……。お前ェ!」
苛立たしげな声に、思わず肩がぴくりと揺れた。
けれど糸は離さない。
引き寄せた糸は撓むことなく、吸い込まれるようにルベアの中に消えていく。
闇はそれ以上近づいてこない。
否。
近づけないのだ。
守るように、遮るようにオルカーンが間に立っている。
その身体からは、他を圧倒するほどの覇気が溢れていた。
Comment
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞
文章の無断転載及び複製は禁止。
文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
- ご挨拶。(3)
- [長編] Reparationem damni(12)
- [長編] Nocte repono rubei(72)
- [長編] Sinister ocularis vulnus (30)
- [長編] Lux regnum(61)
- [長編] Pirata insula(47)
- [長編] Purpura discipulus(43)
- [長編] Quinque lapidem(29)
- [短編] Canticum Dei(3)
- [短編] Candidus Penna(9)
- [短編] Dignitate viveret,Mori dignitas (11)
- [短編] Praefiscine(3)