小説用倉庫。
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ふと気がつけば、糸は流れるようにルベアに向かっていた。
手繰り寄せる力は必要ないほどに。
ほんの少し、ほっとして力を抜いたところで糸がぴたりと止まった。
「……よくも。ゆっくり喰らってやろうと思ってたのにさァ!」
ぶつん、と糸が切れた。
先を闇に残したまま、中ほどで。
切れてはならないものだったのに!
一際高く、オルカーンが唸り声を発した。
それに被せるように、密やかな笑い声が響く。
切られた糸はもう見えない。
全てルベアの中に納まったようだ。
闇に取られた分を除いて。
顔を見ると、目は硬く閉じられていた。
他に動きは、無い。
『レイン!』
――うん……!
頷いて、ルベアを抱えあげる。
力が足りなくて引きずる形になったが、何とか移動はできそうだ。
歩き出そうとした時、不意に引っ張られる感覚があった。
ぎくりとして抵抗しようとしたが、それが覚えのある人物の力だとすぐに気づいた。
ディリクだ。
――オルカーン!
叫んで、手を伸ばす。
意図を察した彼がレインに飛びつく。
それとほぼ同時に、レインは引っ張る力に身を任せた。
景色が無いので分かりにくいが、目の前にあった気配は驚くほどの速さで遠ざかっていった。
声が聞こえた気もしたが、もはや聞き取れるほどの距離ではないようだった。
落とさないようにとしっかりルベアとオルカーンを掴み、きつく目を閉じる。
意識がぐらぐらとして吐きそうだった。
不意に闇が晴れた。
眩しさにはっとして目を開けると、心配そうなヴィオルウスの顔が見えた。
斜めに倒れた身体を支えていたのはディリクだった。
しっかりと支え、床に倒れるのを防いでくれている。
腕を見下ろし、ルベアとオルカーンの姿を見て安堵する。
どうやら落とさずにすんだようだ。
「潰せ」
「駄目だ!」
冷やりとしたディリクの声が聞こえ、反射的にレインは叫んでいた。
驚きと怪訝さが混じった表情で、振り返ってくる二人に、レインが首を振る。
アィルはただじっと、成り行きを見ていた。
「何故だ」
険しい声。
「……駄目だ、だって、あの中には……」
切り残された、ルベアの。
手繰り寄せる力は必要ないほどに。
ほんの少し、ほっとして力を抜いたところで糸がぴたりと止まった。
「……よくも。ゆっくり喰らってやろうと思ってたのにさァ!」
ぶつん、と糸が切れた。
先を闇に残したまま、中ほどで。
切れてはならないものだったのに!
一際高く、オルカーンが唸り声を発した。
それに被せるように、密やかな笑い声が響く。
切られた糸はもう見えない。
全てルベアの中に納まったようだ。
闇に取られた分を除いて。
顔を見ると、目は硬く閉じられていた。
他に動きは、無い。
『レイン!』
――うん……!
頷いて、ルベアを抱えあげる。
力が足りなくて引きずる形になったが、何とか移動はできそうだ。
歩き出そうとした時、不意に引っ張られる感覚があった。
ぎくりとして抵抗しようとしたが、それが覚えのある人物の力だとすぐに気づいた。
ディリクだ。
――オルカーン!
叫んで、手を伸ばす。
意図を察した彼がレインに飛びつく。
それとほぼ同時に、レインは引っ張る力に身を任せた。
景色が無いので分かりにくいが、目の前にあった気配は驚くほどの速さで遠ざかっていった。
声が聞こえた気もしたが、もはや聞き取れるほどの距離ではないようだった。
落とさないようにとしっかりルベアとオルカーンを掴み、きつく目を閉じる。
意識がぐらぐらとして吐きそうだった。
不意に闇が晴れた。
眩しさにはっとして目を開けると、心配そうなヴィオルウスの顔が見えた。
斜めに倒れた身体を支えていたのはディリクだった。
しっかりと支え、床に倒れるのを防いでくれている。
腕を見下ろし、ルベアとオルカーンの姿を見て安堵する。
どうやら落とさずにすんだようだ。
「潰せ」
「駄目だ!」
冷やりとしたディリクの声が聞こえ、反射的にレインは叫んでいた。
驚きと怪訝さが混じった表情で、振り返ってくる二人に、レインが首を振る。
アィルはただじっと、成り行きを見ていた。
「何故だ」
険しい声。
「……駄目だ、だって、あの中には……」
切り残された、ルベアの。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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