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2012/02/05 (Sun)
 翌朝。
 まんじりともせずにベッドから身を起こしたアィルは、ため息とともに窓の外を見た。
 泣きたくなるほど天気のよい日だった。
 そういえば最近はずっと天気がよい。
 昨日のうちにある程度済ませておいた荷物を確認して、部屋から出る。

 ヴィオルウスの部屋の前に来たが、何の物音もしないので首を傾げながら開けてみた。
「……ヴィオルウス?」
 覗いてみると、まだ寝ていたらしい。
 もそりとベッドからヴィオルウスが顔を出した。
「……朝?」
「早すぎたか?」
「……起きるよ……」
 半分寝ぼけた表情でベッドから這い出ると、ヴィオルウスは両手を上にあげて伸びをした。
「エールまでならここから急いで2日ってところだろ」
「……そうなの?」
 心持ち目を見開いてヴィオルウスが問い掛ける。
 アィルは苦笑して窓を開け放った。

 外の風が入り込んでくる。
「何か飲み物でも用意するか? そのほうが目が覚めるだろ」
「……うーん……」
「じゃあ起きたら下に来いよ」
 床に置いてあった荷物を手にとって、アィルは部屋の外に出た。

 結局家を出たのは日が高く昇ったあとだった。
「遅くなっちまったな」
「……ごめん」
 荷物を背負って、ヴィオルウスがうつむく。
 前を歩くアィルは、肩越しに振り返った。
「まぁいいさ。お前が速く歩けばいいんだからな」
 にやりと笑われて、ヴィオルウスは思わず情けない顔をした。
「ほら、行くぞ」


「行きましたか?」
「行ったようです」

 家のドアが薄く開く。
 ふたりの背中が完全に見えなくなるまで、それは細く開いたままだった。

「予定より少し遅れたようだけれど、何とかなりそうですよ」
「そう……願いたいものですね」

 扉は音も無く閉ざされた。
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