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2012/02/05 (Sun)
 脅すように、声が低く響く。
 ヴィオルウスは目を凝らして、声を出した。
 かすれてはいたけれど。
「石を……手に入れた、から……ッ」
 懐から石を取り出して前に差し出す。

 アィルから貰った石。

 声はさらに一段と低い声で答えた。
「それはお前の石ではないはずだ。謀る気か」
 びくりと肩を震わせて、ヴィオルウスが一歩下がる。
 とたんに背中が扉にぶつかった。
 背後を見て、扉があるのを手で確かめる。
 目では見えなかった。

 深い、闇。
「……でも……じゃあ、どこにあるって……」
 一瞬、闇が薄れた気がした。
 はっとして顔をあげると、目の前に青年が立っていた。
 きらりと輝く目の色が、闇の中に浮かんでいる感じがした。
 色の違う、その目が、無感動に自分を見ている。

 不意に炎が燈った。

 自分と、青年のちょうど中間あたりに。
 それがふたりの姿を映し出す。
 けれど見えるはずの部屋の中は依然暗いままだ。
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