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2012/02/05 (Sun)
 行程はアィルが思ったとおりはかどらなかった。
 エールに着いたのはシオンの村を出てから3日目の夜。

 ヴィオルウスは疲れたのかほとんど足を引きずるようだった。
「やっと着いたな。適当な宿を探して、今日はこのまま休もう」
 宿屋の方に足を向けるが、ヴィオルウスは立ち止まったままついてこない。
 何かと思って振り返ってみると、空を見ていた。

 ただ気になったのはその表情。
 それは夜空が綺麗だからとかそういうものではなく、むしろ睨みつけるようにして見ていた。
「ヴィオルウス?」
 呼びかけると我に返ったのか慌てた様子でこちらを見た。
「ごめん、何?」
「いや、疲れたろ? 宿に行こう」
 ふたりはエールにあるたったひとつの宿屋に向かった。
 その宿は「銀星亭」という名前で、値段も手ごろなので利用客は多い。

 ヴィオルウスは部屋にたどり着くなり荷物を床に落してベッドに横になった。
「そんなに疲れたのか?」
「……うん。しんどかった」
 さらに何か言おうとアィルは口を開いたが、軽い寝息が聞こえてきたので苦笑する。
 今夜は悪夢にうなされないといい。


「……ル。……アィル?」
「…………ン?」
 朝日に顔をしかめているアィルを揺さぶると、ごろりと寝返りを打って目を開けた。
「……どうした、こんな朝早く」
「早くないよ。朝食だって。宿屋の主人が」
 アィルは上半身を起こすと、腕を上げて伸びをした。
 一息ついて窓の外を見る。
 日差しが彼の髪を茶色っぽく見せている。
「あーほんとだ。……じゃあ行くか……」
「今日は、少し行くところがあるから朝食食べたら行ってくる」
「わかった。……俺のほうも用事済ませに行ってくるかな」

 ふたりが下に下りると、主人が食器を出しているところだった。
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