小説用倉庫。
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血を吐くような叫びの余韻を残して、それきり声は途絶えた。
ふと目に入った暗色が、先程までと違う気がして首を巡らす。
暗いことに変わりは無かったが、先程の翳した手すら見えぬ闇の中ではなかった。
高い位置にわずかに空いた窓からの月光が降り注ぎ、周囲をうっすらと照らしている。
周りにあるのは石の壁。
まだ夢の続きのような気がして、ただぼんやりと視線を動かしていく。
それが部屋の隅に行ったとき、ぎくりと体を強張らせた。
誰も居ないと思っていた。
闇に同化したかのように気配の無い人影。
その人影は身動きをしたこちらに気づいたのか、ゆっくりと凭れていた壁から体を起こし、近づいてくる。
足音は無い。
ただ微かな衣擦れの音が聞こえるだけだ。
傍らまで来ても表情は見えない。
無音で手を伸ばされ、思わず身を引いた途端、全身に走った激痛に視界が一瞬白くなる。
痛みを堪えながらも必死に人影を見ようと目を凝らしていると、彼は伸ばした手で何かを掴み、横を向いた。
微かな水の音。
再び伸ばされた後、額に冷たい感触があった。
それでやっと、額から落とした布を水で冷やし、また乗せてくれたのだと分かった。
濡れた布を押える様に軽く力をかけられる。
「まだ、眠れ」
その低い声とひやりとした感触に、自然に体に入っていた力が抜けていく。
瞼を閉ざすと、程なく意識は闇に沈んでいった。
ふと目に入った暗色が、先程までと違う気がして首を巡らす。
暗いことに変わりは無かったが、先程の翳した手すら見えぬ闇の中ではなかった。
高い位置にわずかに空いた窓からの月光が降り注ぎ、周囲をうっすらと照らしている。
周りにあるのは石の壁。
まだ夢の続きのような気がして、ただぼんやりと視線を動かしていく。
それが部屋の隅に行ったとき、ぎくりと体を強張らせた。
誰も居ないと思っていた。
闇に同化したかのように気配の無い人影。
その人影は身動きをしたこちらに気づいたのか、ゆっくりと凭れていた壁から体を起こし、近づいてくる。
足音は無い。
ただ微かな衣擦れの音が聞こえるだけだ。
傍らまで来ても表情は見えない。
無音で手を伸ばされ、思わず身を引いた途端、全身に走った激痛に視界が一瞬白くなる。
痛みを堪えながらも必死に人影を見ようと目を凝らしていると、彼は伸ばした手で何かを掴み、横を向いた。
微かな水の音。
再び伸ばされた後、額に冷たい感触があった。
それでやっと、額から落とした布を水で冷やし、また乗せてくれたのだと分かった。
濡れた布を押える様に軽く力をかけられる。
「まだ、眠れ」
その低い声とひやりとした感触に、自然に体に入っていた力が抜けていく。
瞼を閉ざすと、程なく意識は闇に沈んでいった。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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